『ハリー・ポッター』J・K・ローリングの発言騒動にキャスト困惑 「非常に複雑で繊細」
『ハリー・ポッター』シリーズで、ドラコ・マルフォイ(トム・フェルトン)の父、ルシウス・マルフォイを演じたジェイソン・アイザックスが、トランスジェンダーに関するJ・K・ローリングの発言を巡る論争について、The Telegraph紙のインタビューでコメントした。
『ハリー・ポッター』シリーズの原作者J・K・ローリングは近年、トランスジェンダーに対する差別的発言を繰り返すなど、自身のトランスフォビア(トランスジェンダーに対する否定的な価値観)的な見解を示してきたことが問題視され、非難の声を受けている。
ローリングの発言論争について尋ねられたアイザックスは、「ジョー(ローリング)について、さまざまなことが言われていますが、トランス問題については、非常に複雑で繊細な問題なので、触れたくないのです」と述べ、「反論ではないのですが、彼女(ローリング)について知っておいてほしいことの一つに、彼女は、自身が創設した慈善団体Lumos(ルーモス)を通して、社会的擁護を必要とする何十万人もの子どもたちのために、世界をよりよい場所にしようと、膨大な財産を注いでいるということがあります。彼女の支援活動は、紛れもなく良いことです。私たち『ハリー・ポッター』の俳優の多くは、そのために働き、彼女たちの活動を直接見てきたのです」と語った。
さらに、「彼女(ローリング)が、非常に物議を醸し出すようなこと発言をしたとしても、私は、彼女と会話をしない限り、(直接的あるいは本人の気づかないところで間接的に)彼女を裏切るような行動はしません」と、直接本人とのやり取りがなければ、態度を変えるべきでないと考えていることを述べた。
これまで、ローリングの発言に対し、『ハリー・ポッター』シリーズの出演者であるダニエル・ラドクリフ、エマ・ワトソン、ルパート・グリントらは、トランスコミュニティを支持する見解を示している。
先日もグリントは、The Times誌のインタビューで、論争について言及していた。ローリングのことを、“叔母”のような存在であると語る彼は、「叔母(ローリング)の言うことすべてに同意する必要はないと思いますが、それでも彼女は(自分にとって)叔母に変わりありません。非常に繊細で難しい問題です」と、複雑な心境を語った。
『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001年)の公開20周年を記念して制作された、リユニオン番組『リターン・トゥ・ホグワーツ』では、『ハリー・ポッター』シリーズの主要キャストやスタッフが再び集結しているが、ローリングは出演せず、過去のアーカイブ映像でわずかに登場するのみだった。Entertainment Weekly誌によると、ローリングは出演オファーを受けていたが、彼女のチームは、アーカイブコメントだけで十分であると判断し、発言論争問題は、オファーの判断に関係ないと報じられている。