『カムカム』ジョーとトミーが一騎打ち シンクロするモモケンと竹村夫妻のセッション

 トミーと錠一郎の3分30秒にわたる長尺のセッションにかぶせられたのが、“モモケン”桃山剣之介(尾上菊之助)と伴虚無蔵(松重豊)によるクライマックスの対決シーン。白刃が舞う実力伯仲の2人の斬り合いに、平助と和子は息をするのも忘れて見入ってしまう。それもそのはず、酷評された『妖術七変化』で、磯村が唯一「日本映画史上、類を見ない圧巻の立ち回り」と絶賛したのがこのシーンだったからだ。

 前日にるいと錠一郎も同じ映画を観ており、るいはいまいちな反応だったが、観終わった錠一郎はるいのためにコンテストに勝つことを誓った。おそらく殺陣のシーンを観て、感じるところがあったのだろう。好敵手を得て潜在能力が引き出されるのは剣術に限った話ではない。一瞬の間合いも逃さない真剣勝負は、錠一郎とトミーのアドリブ合戦にも通じる。

 映像と音楽のコラボレーションは、これだけでも十分なくらい堪能できたが、さらにダメ押しのように客席の竹村夫妻の映像も挿入される。わずかな表情の変化で内心の驚きや焦り、スリルを表現する平助役の村田と、顔面筋と眼筋をフル稼働させて必死に感情の表出を抑えようとする(が抑えられない)和子役の濱田は、好対照でありながら息の合ったもう一つのセッションになっていた。なぜ夫妻は錠一郎の応援に行かないのだろうと一瞬いぶかしく思ったが、これを見せたかったのかと納得した。 

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK

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