『カムカムエヴリバディ』ジョーがるいの手を強く握る 「黍之丞見参」の決め台詞が決意に

 るい(深津絵里)に選んでもらった衣装を広げながら、錠一郎(オダギリジョー)は関西一のトランペッターを選ぶコンテストで優勝すると決意を新たにする。NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』が第12週初日を迎え、るいと錠一郎はひょんなことから映画を観に行くことになる。

 コンテスト出場への準備を進める錠一郎だったが、偶然ラジオで「勝者はトミー北沢(早乙女太一)に違いない」という予想を聞いて自信をなくしてしまう。ラジオに耳を傾ける錠一郎は普段通りの顔つきでありながらも、みるみる落ち込んでいき、「なんかすごい自信なくなってきた」と話す錠一郎と彼を励まするいの元に、映画館主の西山(笑福亭笑瓶)が「おっちゃんがええもんやろ」と映画のチケットを手渡した。

 るいと錠一郎は気分転換で映画を観に行くことに。映画館にはデカデカと「条映史上 最高傑作」と書かれているが、クリーニング店では平助(村田雄浩)と和子(濱田マリ)がラジオでその作品が「日本映画史上、稀に見る駄作」と評されているのを聞く。ラジオパーソナリティーの磯村吟(浜村淳)の声を背景に、桃山剣之介(尾上菊之助)演じる棗黍之丞(なつめ・きびのじょう)シリーズ『棗黍之丞 妖術七変化 隠れ里の決闘』が映し出される。荒唐無稽な内容にるいは首をかしげるが、ふと横を見ると、錠一郎が真剣に作品に見入っている。

「暗闇でしか見えぬものがある。暗闇でしか聞こえぬうたがある」
「黍之丞見参」

 棗黍之丞の決め台詞に聞き入る錠一郎の脳裏に浮かんだのは、幼い頃の自分の姿だった。その記憶の中には、笑顔の定一(世良公則)の姿もある。

 帰り道、映画のチケットをまじまじと見つめていた錠一郎は、ふと「勝つよ。サッチモちゃんのために、戦うよ」と言った。語り部(城田優)が語ったように、あの作品の何が彼にそう言わせたのか、るいには分からず、なんとも言えない表情で錠一郎の言葉を受け止めていたのが面白い。とはいえその後、錠一郎がぎゅっとるいの手を握り、錠一郎のその意志は真剣なのだと感じられた。るいが錠一郎の言葉を素直に信じられたのも、錠一郎の自然な言動に嘘偽りがないからだろう。

 迎えたコンテスト当日、クリーニング店に錠一郎が飛び込んできた。そのシャツの胸元にはケチャップがべっとり。「そして錠一郎とは、そういう男なのです」の語りに思わず苦笑してしまう。錠一郎を送り出し、懸命に汚れを落とするいだが、果たして間に合うのだろうか……。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK

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