『カムカムエヴリバディ』市川実日子演じるベリーが魅力的 るいとの親友シナリオにも期待

 NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』でるい(深津絵里)と錠一郎(オダギリジョー)の関係に深く関わってきた女子大生・ベリー(市川実日子)。舞台に上がったジョーを見つめる彼女の瞳はいつも輝き、ジョーを想うベリーの表情はキラキラしている。第46回では、サマーフェスティバルのためにあつらえた洋服に身を包み、「今日こそジョーのハートを撃ち抜いたるえ」と気合十分。大好きな人に振り向いてもらうために努力を惜しまない姿勢はとても魅力的だ。

 ジョー、そしてるいへの態度にも共通することなのだが、ベリーの言動には潔さがある。映画の誘いを断られた時も「どないしたらデートしてくれんの、ジョーは」と不貞腐れつつ、彼をしつこく追いかけるようなことはしない。この彼女の潔さのおかげで、彼らの三角関係はドロドロしたものにならない。

 ベリーは自身の恋敵であるるいに敵対心むき出しで迫る。ストレートな物言いはなかなか強烈なのだが、不思議と嫌味に感じられない。それはきっとベリーが自分の思いに誠実であり、恋敵の前ではっきり口に出すからだろう。思うことがあれば「ちょっとサッチモ」と本人の前ではっきり問いただす。るいの正面に立って「そんなしたたかな女に私は負けへん」と宣言するシーンでは凛とした格好良さが感じられた。

 ベリー演じる市川は、るいとジョーの間で表情をコロコロ変える。豊かな表情の中でも、視聴者の心を締め付けるのがベリーの切ない表情だ。第50回で店を飛び出したジョーをベリーが追いかける。ベリーは「なんか心配事?」「わかるわ、それぐらい。ずっとジョーを見てきたんやもん。ジョーだけを見てきたんやもん。ジョーの考えていることくらいわかる」と声をかける。ジョーの変化にいち早く気づけたのはベリーだからこそ。しかしジョーは「人のことがわかるなんて簡単に言うな」と突き返す。ジョーを心配して追いかけた先で、るいとジョーが一緒にいるのを見てしまうシーンは切ない。夕陽に照らされながら彼らを見つめる表情と、「なんで私にはあんなつれないくせしてチンクシャサッチモの前ではあんな顔見せんの」の台詞の言い回しに、るいとジョーへの複雑な想いの全てが込められていたように感じた。

関連記事