『カムカム』第38話との見事な対比となった第52話 「I hate you」から「I love you」へ
『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第52話で、るい(深津絵里)とジョー(オダギリジョー)が結ばれた。筆者がこの第52話を観て、想起したのは安子編で幼いるい(古川凛)が「I hate you」と安子(上白石萌音)に額の傷を見せつける第38話でのシーン。つまりは、この第52話は第38話との対比になっているとも言える。
安子がロバート(村雨辰剛)を選んだと思い込んだるいが、母親との決別を選んだ日も雨だった。そして、るいがジョーのコンテストの衣装を選ぶ日も雨。彼女のトラウマを意識付けながら、無彩色が基調にあった第38話に対して、今回の第52話では色鮮やかな服が並ぶ店内が舞台に設定されている。
「うそばっかり」ーージョーのその言葉にるいは更衣室へと逃げ込んでしまう。ジョーと同じくるいの心の中にも彼を思う気持ちはあったが、額の傷が素直になることをためらわせていた。片桐(風間俊介)の時のようにまた拒絶されてしまうのではないかと。
そんな逡巡する、るいの心を後押ししたのは、恋のライバルであるベリー(市川実日子)の存在だった。るいが自分からベリーに額の傷を見せたのは彼女に心を許している証拠。ベリーはるいの気持ちを察しながら、「何ややっぱり好きなんやんか」「でも、ちゃんと返事はしてあげて」と言葉をかけたのだった(安子編での勇(村上虹郎)が、るい編におけるベリーにも近い)。