『カムカム』明らかになったジョーの幼少期 「サニーサイド」を巡るるいとの再会

 るい(深津絵里)はサマーフェスティバルで、錠一郎(オダギリジョー)が演奏する「On the Sunny Side of the Street」を聞き、忘れようとしていた母・安子(上白石萌音)との記憶を思い出す。そのつらい思い出に耐えきれず、錠一郎の前から去ったるいだが、地蔵盆にやってきた錠一郎がシャツを汚すのを見て、慌てて彼の元へと駆け寄った。NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』が第11週初日を迎え、るいが忘れていた母の記憶と向き合う。

 錠一郎は「特別なんや。僕にとっても」「『On the Sunny Side of the Street』は」と話し始める。いつのことかはあまり覚えていないと話す錠一郎だが、彼がその曲を初めて聞いたのは進駐軍クラブだという。「進駐軍クラブ」と聞いて、るいは安子と過ごした時間を思い出す。安子の「進駐軍さんからもろうたんじゃ」という優しい声が響く。

 SNSでは、進駐軍クラブでトランペットの演奏を食い入るように見ていた戦争孤児が幼い頃の錠一郎だったと話題に。続くるいの記憶で喫茶店「Dippermouth Blues」が登場するが、視聴者の中には、第32回のワンシーンで安子とるいと同じ空間に幼い頃の錠一郎がいたことを思い出す人も。また「シンガーでもないおじさんがマイク奪って歌いだして……」の言葉に、喫茶店の店主・定一(世良公則)の熱唱を思い出し、「あの回をもう一度観たい」という声も挙がっていた。

 るいは「On the Sunny Side of the Street」を初めて聞いたのは、喫茶店で聴いたレコードだと話す。るいは自分の名前の由来が、錠一郎の言う通り、サッチモのルイであることを錠一郎に明かした。錠一郎の演奏で、るいは安子の「ひなたの道を見つけて歩いていこうね」というあたたかな言葉を思い出したが、るいにとって安子は自分を捨てた母親だ。「優しかった頃の、私だけを見てくりょおった頃の母の笑顔を思い出しとうなかったんです」とるいは言う。安子が置かれていた立場を知る視聴者にとっては、安子とるいの想いのすれ違いが切なく感じられただろう。

 ここで、錠一郎の一言が印象に残る。るいの思い出を聞いた錠一郎は「会いたいんやなあ、お母さんに」と言った。るいはその見当違いな返答に「な……何ゅう言よんですか?」と呆れていたが、るいの心の奥底には錠一郎が言うような母への想いがあるはずだ。

 物語の終わり、錠一郎にプレゼントされた風鈴を部屋に飾りながら、るいは給料でレコードを買うことを思い立つ。るいと錠一郎の距離がまた少しずつ近づいた。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK

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