『鎌倉殿の13人』は“勝者の物語”をどう描く? 制作統括に聞く三谷幸喜脚本の醍醐味
800年続いてきた物語の強さ
――清水さんから見た『鎌倉殿の13人』という作品が持っている現代性を教えてください。
清水:今回の企画を通す時に、「なぜ今、北条義時なんだ。鎌倉の話なんだ」と聞かれたのですが、正直言って僕はそこにあまり関心がなかったんです。なぜかというと、800年近くの間、日本人が面白がってきた物語だということ、そして、長く親しまれていろいろな形でフィクションにされてきたものが題材として面白くないわけがない。僕が思う大河ドラマの良さは、ある種のクラシックだと思うんですよね。50年後の人が観ても面白いと思ってほしい。そのためには、800年後の今の時点から振り返る彼らの感覚ではなく、その時彼らがどう感じていたのか、後付けでないリアルタイムな物語を展開していけば、それは自ずと普遍的な作品になっていくと思うんです。それぞれの時代で観た人が、きっと自由に、その時の自分や社会の置かれている状況から何かを感じ取ってくれるんだろうと思っています。だから決して、この2022年だけで受け取られるドラマだとは全く思っておりません。800年続いてきた物語の強さを信じてみたいと思っています。
――『鎌倉殿の13人』は役者同士の会話劇が見どころの一つですが、実際の現場での声を教えてください。
清水:三谷さん脚本のドラマの魅力はコミカルな一方で、歴史劇だからこその非常に残酷だったり、不条理なシーンがある。役者のみなさんはその振れ幅が非常に大変だとおっしゃっていますね。みなさんそれぞれのアプローチをされていると思いますが、とにかく嘘のないように、全力でその時に起こった感情を大事に演じている印象です。これは作り手側としても、面白いシーンとシリアスなシーンを一本のドラマにまとめ上げていくのが、三谷作品の難しさであり、醍醐味だと思っています。一大エンターテインメントとして、期待を裏切らない内容になっていますので、ぜひオンエアを楽しんでいただければと思います。
■放送情報
『鎌倉殿の13人』
NHK総合にて、1月9日(日)スタート 毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、1月9日(日)スタート 毎週日曜18:00~放送
主演:小栗旬
脚本:三谷幸喜
制作統括:清水拓哉、尾崎裕和
演出:吉田照幸、末永創、保坂慶太、安藤大佑
プロデューサー:長谷知記、大越大士、吉岡和彦、川口俊介
写真提供=NHK