ブラジルの現在を生きる17歳のトランスジェンダーを描く 『私はヴァレンティナ』4月公開

 ブラジルの現在を生きる17歳のトランスジェンダーを描いた映画『Valentina(原題)』が、『私はヴァレンティナ』の邦題で4月1日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサほかにて全国順次公開することが決定した。

 ブラジルの小さな街に引っ越してきた17歳のヴァレンティナ。彼女は出生届の名であるラウルではなく、通称名で学校に通う手続きのため蒸発した父を探している。新しい友人や新生活にも慣れてきたが、自身がトランスジェンダーであることを伏せて暮らしていた。そんな中、参加した年越しパーティーで見知らぬ男性に襲われる事件が起きる。それをきっかけにSNSでのネットいじめや匿名の脅迫、暴力沙汰など様々な危険が襲い掛かるのだった。

 LGBTQの権利保障に前向きに動き、同性婚も認められているブラジル。その一方、トランスジェンダーの中途退学率は82%、そして平均寿命は35歳と言われている。トランスジェンダーの少女が、あるがままでいることの難しさと、力強さを描いた本作。ヴァレンティナ役は、自身もトランスジェンダーであり、著名なYouTuberでインスタグラマーとしても活躍中のティエッサ・ウィンバックが演じる。

 監督を務めたのは、ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2009でオーディエンス・アワードを受賞した『秘密の学校』(2008年)のカッシオ・ペレイラ・ドス・サントス。「本作の制作では、多くのトランスジェンダーの方にインタビューを行いました。映画製作の全過程でトランスジェンダーの方に参加してもらうことが重要でした。もしこの映画の物語が軽い内容になってしまうとブラジルでの過酷な現実に対してフェアでないと感じた」と監督は語る。「悲しいエンディングやネガティブな思いを起こす映画もたくさんありますが、もし自分が10代のトランスジェンダーだとしたらそういった映画を観るのは辛いと思いました。苦しい状況の中でも若いトランスジェンダーたちにとってポジティブで希望のある物語を贈りたい」という監督の想いから生まれた、未来に捧げる一作となっている。

■公開情報
『私はヴァレンティナ』
4月1日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
監督・脚本:カッシオ・ペレイラ・ドス・サントス
出演:ティエッサ・ウィンバック、グタ・ストレッサー、ロムロ・ブラガ、ロナルド・ボナフロ、マリア・デ・マリア、ペドロ・ディニス
配給:ハーク
配給協力:イーチタイム
後援:ブラジル大使館
2020年/ブラジル映画/ポルトガル語/95分/スコープサイズ/カラー
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