それよりも、あの原作に漂う不穏な空気をどう表現するのかが気になるところ。作者へのインタビュー記事も少なく、限りなく謎に満ち溢れているちいかわの世界……。それを解く一つの鍵になっているのが、“キメラ”の存在だ。キメラは虫のような小さなものから、獅子舞のような顔をした大型のものまで様々な見た目をしており、突然ちいかわたちを襲う何やら“恐ろしいもの”として描かれている。彼らは「討伐」の対象とされ、それがちいかわたちの労働の一つ。ただ彼らがキメラになってしまったことを悲しむ描写もあったりと、一部では元々はちいかわたちの側にいた子たちが、何らかの理由で異形の姿になってしまったのではないかと考察されている。そんなキメラが登場するか否かで作品のイメージが大きく変わってくるはずだ。

　アニメ『ちいかわ』が組み込まれると見られている枠では、現在『紙兎ロペ 笑う朝には福来るってマジっすか!?』が放送中。この作品では高校生の紙兎・ロペと、紙リス・アキラ先輩のくすりと笑えるゆる～い会話が繰り広げられ、出勤前の大人たちに心安らぐ時間を与えている。

　そんな枠で突然ちいかわたちが可哀想な状況に陥ったり、キメラが登場したりした日にはちょっとしたトラウマものだ。しかし、そのザラッとした後味の悪さが『ちいかわ』の魅力でもある。容赦ない現実に打ちのめされそうになった時、ボロボロになりながらも何気ない日常を共に分け合い、愛するちいかわたちの健気な姿に勇気づけられることもあるから。思わずホロっと涙が出そうになる物語は、新感覚の癒しを視聴者に届けてくれるだろう。願わくば、初めて『ちいかわ』の世界に触れた人たちを困惑させるような独自のスタイルをアニメでも貫いてほしい。

■放送情報
『めざましテレビ』
フジテレビ系にて、毎週月曜～金曜5:25～8:00放送
(c)nagano
公式サイト：https://www.fujitv.co.jp/meza/