『エミリー、パリへ行く』と『セックス・アンド・ザ・シティ新章』の数奇な繋がりとは?

タブーに切り込み『SATC新章』が描くもの

『AND JUST LIKE THAT… / セックス・アンド・ザ・シティ新章』(c)2021 WarnerMedia Direct, LLC. All Rights Reserved. HBO Max TM is used under license.

 1998年に放送開始した『SATC』が、後発の女性主人公ドラマや映画の試金石になるようなドラマとなったのは、性に関するあれこれを赤裸々に発言し、恋やキャリアやマノロ・ブラニクの靴など、欲しいものを絶対に諦めない女性たちが主人公だったから。それがニューヨークという街のイメージとぴったりマッチし、ドラマ史上に残る名作になった。2021年、二匹目ではなく三匹目のドジョウを狙うにあたって、クリエイターが設定したテーマは“エイジング”のようだ。50代の主人公たちが、老いや老害とされる行動を自認し、その上で“人生100年時代”をどう生きるかを共に考えていく。撮影風景のパパラッチ写真がSNSで広まった際、彼女たちの現在の姿を否定的に捉えるコメントが寄せられていた。サラ・ジェシカ・パーカーは雑誌の取材でこう答えている。「世間は、私が現状に満足していてもいなくても、納得しない。今の自分がどう見えるかを知っているけれど、じゃあどうしたらいい? 老化を止める? それとも、いなくなればいいの?」(*1)実は、『エミリー、パリへ行く』の衣装を監修しているパトリシア・フィールドは、『AND JUST LIKE THAT...』に参加していない。「ドラマでエイジングを描く必需性が理解できない」のが理由だそうで、大役をドラマ時代のアシスタントに譲っている。(*2)

 そのパトリシア・フィールドがスタイリングを手がける『エミリー、パリヘ行く』では、ある新進デザイナーがタブーを破りこう発言する。「このコレクションは、秘匿しておくべきと言われるものが主役です。声を大にして言います。これらは、恩師が教えてくれたことを全て忘れる(アンラーン)することで生まれました」。奇しくも、パトリシアのアシスタントだったスタイリストが手がける『SATC新章』は、ドラマや世間が触れてこなかったテーマを描こうとしている。『AND JUST LIKE THAT...』のスタイリストと3人の女優たちは、何を学習棄却(アンラーニング)してこのドラマに臨んでいるのだろうか。

参考

*1:https://www.vogue.com/article/sarah-jessica-parker-cover-december-2021
*2:https://people.com/style/patricia-field-talks-sex-and-the-city-reboot-and-emily-in-paris/

■配信情報
『エミリー、パリへ行く』
Netflixにて配信中
CALOLE BETHUEL/NETFLIX

『AND JUST LIKE THAT… / セックス・アンド・ザ・シティ新章』
U-NEXTにて配信中(毎週水曜に最新話更新)
出演:サラ・ジェシカ・パーカー、シンシア・ニクソン、リスティン・デイビス、クリス・ノース、デヴィッド・エイゲンバーグ、エヴァン・ハンドラー、ウィリー・ガーソン、マリオ・カントーネ、ニコール・アリ・パーカー、サラ・ラミレス、キャシー・アン、アレクサ・スウィントン、ニール・カニンガム、クリー・チッキーノ、カレン・ピットマン、ボビー・リー
(c)2021 WarnerMedia Direct, LLC. All Rights Reserved. HBO Max TM is used under license.
公式サイト:https://www.video.unext.jp/title_k/and-just-like-that
視聴サイト:https://video.unext.jp/title/SID0064742

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