内田理央の“全力”が成立させた「六壁坂」 『岸辺露伴は動かない』次回作もきっと傑作!

 今回のシリーズの縦軸として第4話「ザ・ラン」、第5話「背中の正面」にも貫かれていた「六壁坂」という「場所」。それぞれ独立した原作エピソード(しかも「背中の正面」は『ジョジョ』から)を、橋本陽馬(笠松将)と乙雅三(市川猿之助)を「境目」からはみ出した「何か」、つまりは「妖怪」として設定していることは、「六壁坂」が纏う不穏な空気、「おかしみ」をシリーズ全体に強く印象付けることに成功していた。それは第1話「富豪村」にも通ずる日本ホラー的要素。荒木が原作コミックのあとがき的にある「解説」の中で、「『六壁坂』は本当に不気味な話だと思う。そして、ここに出てくる『生き物』は、描いてる途中で、だんだん、この日本のどこかに実在していそうな気分になってきて、ヤバかった」と綴っている、その例えようのない「ヤバさ」である。

 『ジョジョ』には、チンチロリンでゾロ目を連続で出す東方仗助に露伴が「二度あることは三度ある」とつぶやくセリフがある。『岸辺露伴は動かない』の3度目も──と期待を寄せてしまうのは、第6話のラストが泉京香(飯豊まりえ)の「岸辺露伴、次回作……きっと傑作!」といったセリフで終わっているからだ。第5話には『岸辺露伴は動かない』のエピソードの一つ「月曜日 天気-雨」を表した小ネタもあった。そして、第4話のオンエア後には、来年3月に発売される『JOJO magazine』に『岸辺露伴は動かない』の71ページにおよぶ新作読切が掲載されることも発表に。荒木が『岸辺露伴は動かない』を執筆するのは、2018年掲載の「ザ・ラン」以来、約4年ぶりだ。時期的にも実写化が期待される候補の一つとなることだろう。まだまだ『岸辺露伴は動かない』は続いていく。漫画も、アニメも、そしてドラマも、次回作はきっと傑作!

■配信情報
『岸辺露伴は動かない』
NHK+にて配信中
第4話「ザ・ラン」 
第5話「背中の正面」 
第6話「六壁坂」
出演:高橋一生、飯豊まりえ
第4話ゲスト:笠松将
第5話ゲスト:市川猿之助
第6話ゲスト:内田理央
第4話:真凛、中村まこと、増田朋弥、小水たいが、濱正悟、春木生
第5話:栄信、渡辺翔
第6話:渡辺大知、中島歩、井上肇、白鳥玉季、吉田奏佑ほか
原作:荒木飛呂彦『岸辺露伴は動かない』
脚本:小林靖子
音楽:菊地成孔
演出:渡辺一貴
人物デザイン監修:柘植伊佐夫
制作統括:鈴木貴靖、土橋圭介、平賀大介
制作:NHK エンタープライズ
制作・著作:NHK、ピクス
(c)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社
(c)NHK・PICS

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