『ハンオシ』清野菜名×坂口健太郎の幸せなペアルック たどり着いた“2人らしい”関係性
“偽装結婚”から始まった百瀬(坂口健太郎)と明葉(清野菜名)の2人が互いに“ラブ”を経て“2人らしい”夫婦のカタチ、在り方を模索した『婚姻届に判を捺しただけですが』(TBS系)最終話。
ケジメのためとはいえ、自分から偽装結婚の解消=離婚を提案しておきながら、今となってはすぐにでもまた明葉との入籍を当然のごとく望む百瀬。本当の意味で互いに心が通じ合ったからこそ、そして2人の中では実質初婚ではあるものの形式上は“再婚”となるからこその覚悟と決意を持とうと、何かにつけ“夫婦”や“夫”としての立場を意識した素振りを見せる。
一方、元々“お一人様万歳!”の独身主義だった明葉は、交換条件ありきでの偽装結婚が解消された今、「結婚」や「夫婦」という関係性にこだわる必要はないと言う。両想いのカップルとして“何気ない普通の毎日”を過ごしたいと願う彼女にとっては、「結婚」は必ずしもマスト条件ではないのだ。百瀬から美晴(倉科カナ)への好意を隠すための“カモフラージュ婚”としての“偽装結婚”下では、婚姻関係がなければ百瀬の側にいられないと思い、その関係性の継続に必死で、少しでも現状維持が脅かされるようなことがあれば一喜一憂していた明葉が、本当の意味での不安解消ができた途端、ある意味付き憑き物が落ちたように自分の気持ちに正直になれていた。
引越し騒動が持ち上がり、百瀬との感情の行き違いから投げやりになった明葉は独身時代からずっと大切にしていた愛着たっぷりのオレンジ色のソファーを買い取りに出そうとしてしまう。それこそ祖母の小料理屋を守るために身の回りのものを惜しげもなく売り飛ばしていた頃でさえも絶対に肌身離そうとしなかった彼女のこだわりと思い出がたくさん詰まった大のお気に入りのソファーで、“家賃よりも唯一高い”代物だ。独身時代は、仕事から帰宅したらそのソファーに座り込みビールを喉に流し込むのが何よりの幸せだった明葉にとって、今や彼女の幸せは「このソファーで百瀬さんと一緒に座りながらビールを飲む時間」だと言っていたのに……。
そんな“幸せ”の象徴であるソファーを明葉は手放そうとするのだ。そこには百瀬との“結婚観”の不一致、曖昧なままステータスがまた変化しかねないことへの何とも言えないモヤモヤなどもあったのだろう。それを百瀬が買い取り業者の車を追いかけ、取り戻し、言うのだ。「僕にとっての幸せもあのソファーの上で明葉さんと2人でビールを飲む時間だったと気づいた」のだと。
このソファーは、結婚によって一見したところ諦めなければならない“自分のこだわり”“幸せのカタチ”、“誰にも邪魔されたくない時間”を暗示しているように思える。盲目的に話を進めてしまう百瀬の様子に嫌気が差し、話し合いもそこそこに一時期ははなからわかり合うことなど無理だと目を背けてしまった“本当は大切にしたいこだわり”“譲れないもの”。しかし、それを百瀬が“自分にとっても同じように大切で尊重したい”し、“何ならひとりだけで大切にするよりも2人でたくさん愛でて守りたい”と言ってくれる。こんなに心強いことはないだろう。