『スパイダーマンNWH』、『フォースの覚醒』超える初動 北米2000万人が鑑賞済み?

 前回も指摘したように、ディズニーは劇場公開作品を早期に配信でリリースする戦略を取っている。おそらく『ウエスト・サイド・ストーリー』や『ナイトメア・アリー』は、早期にディズニープラスなどの配信サービスで見放題配信となるはずだ。しかし、たとえそうだとしても、なぜディズニーは両作を『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の陰に隠れてしまう時期に劇場公開したのか。今週末には、同じく20世紀スタジオ作品『キングスマン:ファースト・エージェント』も控えているが……。

 もっとも先述したように、12月17日~19日の北米の映画館興収は累計2億7530万ドル。これは『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(2019年)が公開された、コロナ禍以前にあたる2年前の週末の数字を11%上回るものだ。なお、2021年1月1日~12月19日の北米累計興行収入は、前年(2020年)の182%にも及んでいるという。

 映画館業界は今、コロナ禍からの回復という点で大きな前進を続けている。そんな中、確実に大ヒットする映画を大きく取り扱うことにより、リスクのある映画には(言葉は悪いが)“犠牲”になってもらうという戦略は、業界の回復という大きな観点で言えばやむを得ない「痛み」なのだろうか。しかしこうした流れが続くことによって、映画業界/映画館業界と映画文化にはどんな変化が生まれるのだろう。その正確な答えはまだ出そうにない。

北米映画興行ランキング(2021年12月17日~12月19日)

1.『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
2億5300万ドル/4336館/1週/ソニー

2.『ミラベルと魔法だらけの家』
652万ドル/3525館/累計8154万ドル/4週/ディズニー

3.『ウエスト・サイド・ストーリー』
341万ドル/2820館/累計1798万ドル/2週/20世紀スタジオ

4.『ゴーストバスターズ/アフターライフ』
340万ドル/3282館/累計1億1724万ドル/5週/ソニー

5.『ナイトメア・アリー』
295万ドル/2145館/1週/サーチライト・ピクチャーズ

6.『ハウス・オブ・グッチ』
185万ドル/1907館/累計4488万ドル/4週/UAR・MGM

7.『Pushpa: The Rise(原題)』
132万ドル/400館/1週/Hamsini Entertainment

8.『エターナルズ』
119万ドル/1900館/累計1億6359万ドル/7週/ディズニー

9.『でっかくなっちゃった赤い子犬 僕はクリフォード』
40万ドル/2840館/累計4858万ドル/6週/パラマウント

10.『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』
28万ドル/719館/累計1673万ドル/4週/Screen Gems

(※本記事の興行収入データは12月20日未明時点の速報値であり、最終確定の数値とはやや誤差が生じる可能性があります)

参考

Domestic 2021 Weekend 51 – Box Office Mojo
‘Spider-Man: No Way Home’ Swinging To 3rd Best Domestic Opening Ever With $253M+ Overtaking ‘Force Awakens’; Is ‘Infinity War’ Next? – Sunday AM Update

■公開情報
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
2022年1月7日(金)全国ロードショー
監督:ジョン・ワッツ
出演:トム・ホランド、ゼンデイヤ、ベネディクト・カンバーバッチ、ジョン・ファヴロー、ジェイコブ・バタロン、マリサ・トメイ、アルフレッド・モリーナ
配給:ソニー・ピクチャーズ
原題:Spider-Man: No Way Home
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