吉沢亮&演出に『青天を衝け』第40回を聞く 「栄一と喜作は2人で1人のような関係」

喜作(高良健吾)と慶喜(草なぎ剛)との別れ

ーー第40回では、高良健吾さん演じる喜作もついにその生涯を終えます。血洗島での栄一との最後のシーンは若かりし頃の2人の姿とリンクする感動的なシーンとなりました。

吉沢:初めて一橋に仕官して、2人で布団にくるまりながら酒を飲んでたシーンとか2人の道が違えていくところとかもすごく印象的でしたけど、やっぱり40話での最後はすごくいいシーンだったなと思いました。2人のどっちが兄貴分なのか、弟分なのか分からないでこぼこな関係性が最後まで続いていて、喜作がもっともらしいことを言って兄貴感出して勝ち逃げしていくのがすごく喜作と栄一だなと思って、好きなシーンでしたね。

黒崎:2人はどこか光と陰みたいなところが物語上ではあると思うんですよね。栄一の方が歴史的には光が当たっていて、喜作が少し陰の部分を歩いたのかもしれない。子供の頃の2人は栄一の方が正論を言うことが多かったですけど、歳を取ったら栄一の方が間違って喜作が正してくれる面もたくさんあったし、2人の中では交互に光と陰が入れ替わりながら、2人で1人のような不思議な関係を吉沢さんと高良さんは演じてくれました。最後のシーンは短い時間のロケで、日没まであと1分30秒というギリギリまで狙って2人を撮り続けました。その時の2人のお芝居について僕から言うことは何もなく、2人が築いてきた関係を醸し出してくれて、それをカメラがドキュメンタリー的にずっと追いかけていくような撮り方でした。2人が光に包まれている瞬間を目の当たりにして、しみじみこの2人を見続けることができてよかったなと思いました。

ーー第40回では喜作だけでなく慶喜もまたこの世を去っていきます。第1回から登場してきた北大路欣也さん演じる家康が、白を基調とした世界から話しかけている姿も印象的でした。

黒崎:慶喜さんは徳川の世を閉じていった方だったので、少し天国のような雰囲気が出てもいいのかなというつもりでああいった色調にしてみました。家康さんには最終回まできちんと見届けていただこうと思っております。歴史の語り部として登場してもらった家康さんは、北大路さんの存在、眼差しも大きいと思いますが、一緒に物語を客観的に観ているだけではなく、この人は栄一が好きだろうなと思うんですよね。家康さんは栄一さんをリノベーターとして、ご自分の立場から応援しているのが滲み出ているし、時には息子のように、孫のように見ている瞬間もあったかもしれない。そういった家康としての視線は北大路さんの力だと思うんです。我々としても物語を最後まで伴走したいと思わせてくれるパワーを発揮していただきました。最後に家康さんを撮りきった時には吉沢さんも感無量な顔をしていて、肉親に初めて会ったようなシーンがスタジオでは繰り広げられていました。そんな時空を超えた不思議な関係が出来上がったと思っています。

■放送情報
大河ドラマ『青天を衝け』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアムにて、毎週日曜18:00~放送
BS4Kにて、毎週日曜9:00~放送
出演:吉沢亮、小林薫、和久井映見、村川絵梨、藤野涼子、高良健吾、成海璃子、田辺誠一、満島真之介、岡田健史、橋本愛、平泉成、朝加真由美、竹中直人、渡辺いっけい、津田寛治、草なぎ剛、堤真一、木村佳乃、平田満、玉木宏ほか
作:大森美香
制作統括:菓子浩、福岡利武
演出:黒崎博、村橋直樹、渡辺哲也、田中健二
音楽:佐藤直紀
プロデューサー:板垣麻衣子
広報プロデューサー:藤原敬久
写真提供=NHK

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