『日本沈没』最終回は常盤統一郎が鍵を握る? 「希望のひと」という副題が意味すること
小栗旬主演の日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』(TBS系)が12月12日、いよいよ最終回を迎える。小松左京原作小説を大きくアレンジした今作では、これまで作られてきた映画などとは異なるドラマ版ならではの魅力で高視聴率をマークしている。そこで今作の魅力と、最終回に向けて起こりうる状況を掘り下げてみたいと思う。
物語は、2023年の東京を舞台に、環境省の官僚で、未来の日本を見据えて、各省庁の優秀な若手を集めた「日本未来推進会議」のメンバーである主人公・天海啓示(小栗旬)を中心に、地球物理学界の異端児・田所雄介博士(香川照之)の“日本沈没論”を通し、日本の未曾有の危機を前に奮闘する人々の姿を描く。
これまで映画やドラマで作られた『日本沈没』の主人公は潜水艇操縦士・小野寺俊夫で、阿部玲子というヒロイン的存在との愛が最後は一つの希望となっていくのに対し、今作は主人公を官僚に据え、日本国民のために動く政治内部の話が中心となっている。
原作が刊行された1973年は、戦後、急速な経済成長を続ける中で石油危機を迎えていた時代だ。祖国を失い難民として他国に移住する日本人の恐怖と喪失感を描きながらも、国を失っても強く生きよというメッセージが込められ、まだ戦争の記憶が残る時代だからこそ心に響いた作品であった。
2021年版はどちらかといえば『半沢直樹』(TBS系)など政治的な駆け引きを得意とする池井戸潤作品など数多く放送してきた日曜劇場枠なだけに、会議室での戦いを楽しむことができる内容になったように思う。
今作では頼れる政治リーダーや環境破壊、様々な陰謀論や国民の意思などが、現在の政治と重ね描かれているのが魅力の一つ。2016年公開の映画『シン・ゴジラ』の系譜にも連なる、パニックの状況に対し政治家たちがどういう動きで未曾有の事態に対抗していくのかを描く、役人に焦点を当てたエンターテインメント作品ともいえるのではないだろうか。