5周年を迎えた『アイカツスターズ!』は何が魅力? “変化し続ける”ことで生まれた強さ

 『アイカツ!』シリーズの第2作目『アイカツスターズ!』が、2021年に5周年を迎えた。12月3日には、5周年を記念した商品『アイカツスターズ! 5th anniversary ALL☆STARS Blu-ray BOX』が発売している。

『アイカツスターズ!』公式サイト

 これを機に、本作を巡る評価の変遷や、現在に至るまで人気シリーズとして親しまれている『アイカツ!』シリーズの中で本作が果たした役割について、振り返ってみよう。

 そもそも『アイカツ!』とは、2012年より展開が始まった、アイドルやおしゃれに興味を持ち始めた女子児童をターゲットとしたコンテンツだ。現在までに『アイカツ!』、『アイカツスターズ!』、『アイカツフレンズ!』、『アイカツオンパレード!』、『アイカツプラネット!』と続いているが、普通の女の子たちがトップアイドルを目指す物語や、アニメとデータカードダスを中心として展開される点は、シリーズ共通となっている。

 多くのファンを生んだ初代『アイカツ!』は、当時の女子児童向け作品としてはかなり攻めた、バリエーション豊かな劇中歌をはじめ、たくさんの魅力を備えた作品だった。アニメの作風面での特筆すべき点といえば、スポ根的な少女たちの成長物語でありながら、「悪人のいないドラマ」であることや、「努力がやがて実り、誰もが自分の個性を輝かせるストーリー」といった部分の新規性だ。本作がこうしたストレスの少ない、明るく前向きな作風となったのには、前年に東日本大震災があった影響が大きいことが、スタッフの証言から明らかとなっている。

 3年半続いた初代『アイカツ!』に続くシリーズ作品として、『アイカツスターズ!』は2016年4月から展開が始まった。当初、本作は『アイカツ!』の既存ファンにとって、実に多くの賛否両論を巻き起こすこととなった。

「アイカツスターズ!」PV

 悪人とまではいかないまでも、アイドルたちに対して厳しい態度を取るキャラクターの存在や、努力が報われるとは限らない、残酷さが際立つ作風など、いくつかの前作とは相反する要素が、賛否両論の大きな理由として挙げられる。初代『アイカツ!』がポジティブな作風のため、登場人物の「涙」をここぞという場面以外でほとんど描かないというこだわりを持って制作されていた一方で、『アイカツスターズ!』では主人公である虹野ゆめが、第1話から涙を流す場面があったことも、両作の違いを象徴していると言えるだろう。

 その変化から、当時シリーズを離れたファンも少なくなかったようだ。しかし、後追いで本作に触れた人や、今日に至るまでにネット上での発言力が高まった、リアルタイムで視聴していたメインターゲット層などからの支持もあり、現在、『アイカツスターズ!』はシリーズでも屈指の人気作のひとつと言ってよい評価を得ている。

 前作ファンにとって受け入れが難しかった第一印象の先にあった、本作の魅力とは、何だったのだろう?

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