ユ・アイン、キム・ヒョンジュ、パク・ジョンミン 『地獄が呼んでいる』で光る3人の俳優

 11月19日からNetflixで独占配信されている『地獄が呼んでいる』が好調だ。大ヒット映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2017年)などで知られるヨン・サンホ監督による新作ドラマということで、先に世界中で話題となった『イカゲーム』を超えるのでは、と言われている。

 ある日突然「〇年〇月〇日〇時にお前は死ぬ」と宣告された人々が、その時刻に現れる3人の地獄からの使者によって滅多打ちにされ、殺されてしまう。不可解な現象に恐れを抱く国民に対し「罪を犯したことによる神からの裁き」「試演」だと扇動する新興宗教団体と、その不条理に立ち向かう人々を描いていく。

『地獄が呼んでいる』予告編 - Netflix

 グイグイとひきつけるストーリー展開で、全6話をあっという間に観終わってしまうのだが、とりわけ出演している俳優陣が魅力的だ。そこで今回は、本作に出演するユ・アイン、キム・ヒョンジュ、パク・ジョンミンを紹介したい。

ザ・カメレオン俳優 ユ・アイン

 本作で新興宗教・新真理会の教祖・チョン・ジンス役を演じているユ・アイン。『#生きている』(2020年)では生き残るのに必死な現代っ子を好演、また2022年1月に日本での公開も控えている『声もなく』では役作りで15キロ太るなど、役によって雰囲気はもちろん、見た目も変わるカメレオン俳優として知られている。

 本作では一見すると普通の青年のように見えるのだが、人殺しを命じる冷徹さもあり、無表情に抑揚のない話し方をする様は不気味だ。動じることもなく、教祖として人々を着実に扇動していく。そんなジンス自身の身にも衝撃的な出来事が起こるのだが、極限の精神状態に達した時のユ・アインの怪演に背筋が寒くなる。

 『バーニング 劇場版』(2018年)がカンヌ映画祭でパルムドールを争ったこともあり、本作での名演でさらに世界認知が進みそうだ。

見事なアクションも見せるキム・ヒョンジュ

 『愛人がいます』(2015年)で1人2役を演じ話題となったキム・ヒョンジュ。本作では、新真理会と戦う弁護士・ミン・ヘジン役に挑んだ。地獄からの使者による制裁が、人間を正しい道に導くためだと主張する新真理会。妄信する信者たちが「矢じり」という組織を作り暴走を始め、国がパニックに陥る。一連の出来事は神からの制裁などではなく、単なる超常現象なのだと真っ向から反論するヘジンは、次第に新真理会に目をつけられ窮地に陥っていく。

 デビューして間もなく、ドラマ『愛してる 愛してる』(1998年)でSBS演技大賞を受賞したヒョンジュは、その後も同賞を幾度となく手に入れてきた演技派としても知られている。特に先述の『愛人がいます』では他部門で受賞するなど、まさに国を代表する女優の一人だ。その演技力が本作でもヘジンというキャラクターのダイナミクスに反映されている。

 物語の前半では、弁護士として知的な雰囲気で演技をしていたキム・ヒョンジュだが、中盤に自らも矢じりによって襲撃を受けてからは一転、弁護士を辞め、華麗なアクションでダイレクトに新真理会に戦いを挑む「強い女性」に。1人2役というわけではないのだが、その変貌ぶりは鮮やかで引きつけられていく。

 物語の最後、ミン・ヘジンがとる行動が本作の続編を期待させるのだが、今度どんな表情を見せてくれるのか楽しみだ。

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