『青天を衝け』吉沢亮×大島優子の絶妙な距離感 岩崎弥太郎、五代友厚らの死も

 渋沢家に大きな変化が見られた第37回は、これまで物語を賑わせてきた重要人物が次々と亡くなっていく回でもあった。まずは岩倉具視(山内圭哉)。くせ者として知られる岩倉を思わずクスッと笑ってしまうくらい大河としては大胆に演じてきた山内圭哉は、その最期も視聴者を大いに笑わせてくれた。天国にいるトメ(梅沢昌代)からお呼びがかかった岩倉は「お上~!」と合唱しながら、まさかの黄金色に発光。そのままバタンと倒れる異例のラストとなった。

 栄一のライバルとして熱きバトルを繰り広げてきた岩崎弥太郎(中村芝翫)、さらに「西の五代、東の渋沢」と呼ばれるライバルであり、良き理解者でもあった五代友厚(ディーン・フジオカ)も命を落とす。合本主義の栄一と個人主義の弥太郎は正反対の理念を持つ2人だったが、日本を豊かにしたいという思いは一緒だった。歌舞伎役者としての発声を遺憾無く演技に落とし込んだ中村芝翫演じる弥太郎は、最期も圧巻の迫力で亡くなっていく。「日本に繁栄を!」と叫ぶその表情からは亡くなる直前まで日本の未来を思っていた彼の念の強さが溢れている。

 「近代大阪経済の父」と呼ばれた五代は、大阪の商法会議所を設立し、大阪経済界を盛り上げた立役者だ。ラストは共同運輸、三菱間の争いをやめるようにと説得し、新たに「日本郵船株式会社」の設立に尽力し、その年の秋に死去している。ディーン・フジオカは、朝ドラ『あさが来た』(NHK総合)に続き、五代を演じるのは2度目。印象的なのは、栄一と同じ未来を見据えたまっすぐな目線だった。それが晩年では、死期を悟った優しい眼光に。「おいが死んでも、おいが作ったものは残る。青天白日。いささか天地に愧じることはなか」──そう告げた五代は、栄一へと日本の未来を託すのだった。

 第38回「栄一の嫡男」では、篤二が跡継ぎの重責から逃れるかのようにある過ちを犯してしまう。慶喜、さらに久々の昭武(板垣李光人)も登場。そして、明治27年夏、日清戦争が起こる。

■放送情報
大河ドラマ『青天を衝け』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアムにて、毎週日曜18:00~放送
BS4Kにて、毎週日曜9:00~放送
出演:吉沢亮、小林薫、和久井映見、村川絵梨、藤野涼子、高良健吾、成海璃子、田辺誠一、満島真之介、岡田健史、橋本愛、平泉成、朝加真由美、竹中直人、渡辺いっけい、津田寛治、草なぎ剛、堤真一、木村佳乃、平田満、玉木宏ほか
作:大森美香
制作統括:菓子浩、福岡利武
演出:黒崎博、村橋直樹、渡辺哲也、田中健二
音楽:佐藤直紀
プロデューサー:板垣麻衣子
広報プロデューサー:藤原敬久
写真提供=NHK

関連記事