『ボヘミアン・ラプソディ』の脚本家、制作会社とプロデューサーを提訴 利益を巡る争いに

 映画『ボヘミアン・ラプソディ』の脚本家であるアンソニー・マクカーテンが、制作会社であるGK Filmsとプロデューサーのグレアム・キングを提訴した。

 イギリスのロックバンド「クイーン」のボーカル、フレディ・マーキュリーに焦点をあてた物語である本作は、2018年に公開され、ラミ・マレックの主演男優賞を含む、アカデミー賞4部門を受賞した。

 本作品は約5500万ドルの制作費に対し、全世界で9億ドル以上の興行収入を記録。莫大な利益をあげているように思われるが、今回の訴訟では、配給会社であり、共同プロデューサーの20世紀スタジオが、支払いを回避するため不正会計をしたとされている。

 また、マクカーテンは、20世紀フォックスは純利益の5%を支払う義務があるが、その純利益の定義を不適切に変更していると主張。「低予算の映画が10億ドルに近い興行収入を記録しても、純利益を支払うことができないのなら、今後も支払われることはないでしょう」と訴えている。

 GK Filmsは、『ギャング・オブ・ニューヨーク』や『ヒューゴの不思議な発明』などの映画に出資した実績をもつ独立企業。訴訟によると、同社は、バックエンドの利益をより有利に定義する代わりに、初期予算を低く設定するといわれている。

 興行成績に応じてボーナスを受け取っていたマクカーテンだが、『ボヘミアン・ラプソディ』の執筆料の低さに不満をもち、同社の幹部に電話をしたこともあるという。純利益については、20世紀フォックスから2回、会計報告書を受け取ったようだが、その会計報告書では、1回目の2019年4月では、本作が1億500万ドルの損失を出したと伝えられ、2回目の2021年7月には、5100万ドルの損失となったと記載。実際の興行収入と比較すると違和感がある数字ではある。

 マクカーテンは、GK Filmsが、20世紀フォックスに、純利益について定義づけることを許可しているが、実際に(マクカーテンは)定義について見たことも、同意したこともないと主張している。GK Filmsからのコメントは現状ない。

■作品情報
『ボヘミアン・ラプソディ』
監督:ブライアン・シンガー
音楽プロデューサー:ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー
出演:ラミ・マレック、ルーシー・ボイントン、グウィリム・リー、ベン・ハーディ、ジョセフ・マッゼロ、トム・ホランダー、マイク・マイヤーズ
Motion Picture(c)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation, Regency Entertainment (USA), Inc. and TSG Entertainment Finance LLC in the U.S. only.(c)2018 Twentieth Century

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