知的な役から熱い演技まで堪能できる 『その男の記憶法』キム・ドンウク出演ドラマ4選

普段とは違う無鉄砲キャラが印象的な『客 -ザ・ゲスト-』

 『その男の記憶法』『君は私の春』とは、180度違うキャラクターを演じたのが、『客 -ザ・ゲスト-』 (2018年)だ。正真正銘のホラードラマで、かなりグロテスクな描写が話題となった作品。この作品でキム・ドンウクは、霊能者の家に生まれ霊感が強く、そのせいで母と祖母を失ったユン・ファピョン役を演じている。

「客ーザ・ゲストー」予告編

 ファピョンは、タクシー運転手をしながら、20年前に母と祖母の命を奪った悪霊「パク・イルド」の行方を追っている。同じ事件で家族を失ったチェ・ユン(キム・ジェウク)とカン・ギルヨン(チョン・ウンチェ)と手を組むことになるのだが、この3人のキャラクターがどれも立っていて、面白い。

 キム・ジェウクが演じるユンが冷静沈着・無表情なことと対照的に、ファピョンは猪突猛進型だ。あまりにも無鉄砲なので「おいおい、そこで一人で突っ走っても無理だろう」と突っ込みを入れたくなることもしばしば。しかし、そんな熱いハートを持ったファピョンに対して、ユンとギルヨンは次第に共感するようになり、史上最強の敵となる「パク・イルド」に挑んでいく。その姿は、どこまでも熱く、手に汗をにぎりながらファピョンを応援したくなるのだ。

熱い演技で魅せる『チェックメイト!〜正義の番人〜』

 キム・ドンウクが熱い役を演じたのがこの作品だけではない。『チェックメイト!〜正義の番人〜』 (2019年)では、不正を許さない特別労働監督官、チョ・ジンガプ役をさらに熱い演技で魅せている。

「チェックメイト!~正義の番人~」【予告編】

 元柔道選手という役柄か、体重を増やしてこの役に挑んだキム・ドンウク。見事なのは歩き方が柔道家そのものなのだ。こうした細かいところにも気を配って演技をするところに感服する。

 物語の内容としては、日本で人気を博したドラマ『半沢直樹』(2013年、2020年/TBS系)のコメディー版といえるだろう。韓国財閥の不正に果敢に挑んでいくのだが、型破りな方法でまわりを巻き込み、解決していく姿にスカッとする。韓国社会に根付く労働環境の問題や財閥の不正を赤裸々に表現しているので、怒りに震えてしまう場面も出てくるが、キム・ドンウクの見事なコメディーセンスで、重い空気を一掃している。

 本稿ではキム・ドンウクが主演している4つの作品を紹介したが、彼のさまざまな表情が楽しめるだけでなく、物語として大変見応えのある作品に仕上がっている。今後、大人の男性としてどんな表情を魅せる俳優となっていくのか、彼の次回作が楽しみだ。

■配信情報
『その男の記憶法』
Amazon Prime Videoにて、全話16話独占配信中
出演:キム・ドンウク、ムン・ガヨン、ユン・ジョンフン、キム・スルギ、イ・ジニョク他
(c)2020MBC

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