『じゃない方の彼女』雅也はなぜ怜子に惹かれるのか 小西真奈美は大学院生でも違和感なし

 妻・麗役を好演中の小西真奈美の、黒目がちな瞳で帰宅の遅い雅也に迫る様子や片桐(山崎樹範)に苦言を呈する様子には本当は全てを見透かされていそうで、雅也同様ドキッとさせられる。そして、彼女はなんだか一見不釣り合いに見える凸凹な相手との夫婦役やカップル役を違和感なく見せられる。本人たちは至って真面目に、だけれどもどこかコメディタッチで演じられるのが面白い。本作での濱田岳扮する雅也との夫婦役を見ていると、思わずファブリーズのCMでの千鳥・ノブとの夫婦役での軽妙なやり取り、一瞬で感じさせる家庭内のパワーバランス、若干気の弱そうな夫に対してイニシアチブをとる妻の強さや動じなさを連想してしまう。

 いつまでも可愛らしく透明感がありつつキュートな声色も魅力的で、大学院生役だって全く問題なく演じられる小西だからこそ、そのキャラクター的要素が上手くコメディ作品内で昇華されると、唯一無二の他には真似のできない独自ポジションを築ける。朝ドラ『半分、青い。』(NHK総合)での、全身緑色×アニメ声が特徴的な加藤恵子役などは彼女でなければ務まらなかったキーパーソン役だろう。

 かと思いきや、『Nのために』(TBS系)での野口奈央子役のように何とも艶かしさがありつつどこか幸薄そうな専業主婦役という正反対の役柄も見事にハマる。映画『ミッドナイト・バス』での原田泰造演じる主人公の恋人・古井志穂役でも大人女性の胸に秘めた臆病さや哀愁を繊細に体現していた。

 麗は同窓会で元恋人との淡くて苦い思い出に折り合いをつけたのだろうか。それとも、そんなものは彼女の中からすでにすっかり消え失せていたか。

 一方、自分から怜子への気持ちを確認したかに見えた雅也だったが、次週以降彼らにどんな展開が待ち受けているのか、それは天国なのか地獄なのか、しかと見届けたい。

■放送情報
『じゃない方の彼女』
テレビ東京系にて、毎週月曜23:06~放送
地上波放送終了後、動画配信サービス「ひかりTV」「Paravi」で配信
出演:濱田岳、山下美月(乃木坂46)、山崎樹範、東野絢香、豊田裕大、宝辺花帆美、YOU、小西真奈美
企画・原作:秋元康
監督:三木康一郎、根本和政、岸川正史
脚本:服部隆、モラル、青塚美穂
音楽:小山絵里奈
主題歌(OPテーマ):Thinking Dogs「エキストラ」(Sony Music Labels Inc.)
EDテーマ:原因は自分にある。「豪雨」(SDR)
チーフプロデューサー:阿部真士(テレビ東京)
プロデューサー:中川順平(テレビ東京)、木下真梨子(テレビ東京)、森田昇(テレビ東京)、清家優輝、岸川正史
制作:テレビ東京、ファインエンターテイメント
製作・著作:「じゃない方の彼女」製作委員会
(c)「じゃない方の彼女」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/janaiho/
公式Twitter:@tx_janaiho
公式Instagram:@tx_janaiho

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