『カムカムエヴリバディ』で深津が演じる雉真るいは、 そんな初代ヒロイン・橘安子の娘で、2代目ヒロインとなる。ドラマで描かれるのはまだ先だが、るいの物語は、昭和30年代の大阪から始まり、生き別れた母親・安子を憎みながらも、ジャズで道を切り開くという話で、一度こうと決めたら曲げない性格は母・安子譲りだという。青春期と母親役という幅広い年齢を演じるだけでなく、幼い頃の体験から屈折した感情を持った繊細さと、生きる道を自ら切り開く強さの両方を兼ね備えた重層的な難しい役。ただここ数年の深津の出演作品を見ると、そうしたアンビバレンスを抱える役や母親役もきっちりと演じていただけに期待できる。

　深津演じる名前は“雉真”るいであり、兄弟のどちらかの子になるのだろうが、生き別れた母親を憎むということは、養子に出されるという展開も考えられる。上白石から深津にどのような形でバトンが渡るのか。るいの登場はまだ先だが、じっくり描かれる安子のエピソードを知らない体で登場するわけで、母に対するネガティブな考えと視聴者の思いが行き違い、最初は愛されないキャラになる可能性もあるかもしれないが、そこからどう視聴者を引き込んで行くのかが深津の腕の見せどころ。また、性格は親譲りという設定から、深津の演技力なら上白石の演技の細かいところを重ねてきそうなので、今のうちに上白石の演技もしっかりと見ておきたい。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合：午前8:00〜8:15、（再放送）12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K：7:30〜7:45、（再放送）11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演：上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本：藤本有紀
制作統括：堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽：金子隆博
主題歌：AI「アルデバラン」
プロデューサー：葛西勇也・橋本果奈
演出：安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか　
写真提供＝NHK