『カムカムエヴリバディ』は朝ドラ史上最速の展開? 第1週目から甘酸っぱさ満点

 11月1日に放送を開始した連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)がまずは第1週の本編を走りきった。

 視聴した感想を素直に書くと、とにかく「展開が早い!」。前期の『おかえりモネ』(NHK総合)がゆっくり、ゆっくりと物語が紡がれていった作品だったというギャップも多分にあるが、それにしてもだ。第2話のラストには小学3年生だったヒロイン・安子が14歳に。早くも網本唯舞葵から上白石萌音へとバトンタッチとなる。幼少期が回想でインサートされた『おかえりモネ』は例外としても、大抵の朝ドラは1週ないしは2週で幼少期を描いていくのが定石だった。

 それが『カムカムエヴリバディ』ではそのまま加速度的に疾走していき、第1週ラストには安子と稔(松村北斗)が「May I write a letter to you?」(安子)、「Of course. I will write to you in return」(稔)と思いを伝え合うところまで発展している。しかも、第5話にはきぬ(小野花梨)のアシストにより、安子と稔が夏祭りへ。稔の弟である勇(村上虹郎)から「あんころ屋の女なんか釣り合うもんか!」と家柄の格差を指摘された安子が、胸に秘めた恋心を封印。その場で別れを告げるものの、夏の終わりにラジオから流れる英語講座の「キュウリオ」で稔への思いが再燃。諦めきれずに大阪へ帰る稔を追いかける、といった甘酸っぱさ満点のジェットコースター展開がギュウギュウに詰め込まれている。

 それではなぜこれほどまでに怒涛のストーリー構成となっているのか。第1週から物語に弾みをつけたいということも考えられるが、一番は半年の放送の中で100年のファミリーストーリーを描ききらなければならないからだろう。岡山を舞台にした「安子編」の次は、深津絵里がヒロインとなる「るい編」、ラストは川栄李奈による「ひなた編」と3部作で物語は続いていく。るい編は昭和30年代の大阪から、ひなた編は昭和40年代の京都から始まるということから、完全にバトンタッチというわけではなく、大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(NHK総合)のように主人公がシームレスに移り変わっていく画を想像するが、3世代が一挙に集合するシーンは実現するのだろうか。

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