『おかえりモネ』伊東蒼、目が離せない“異質感” 物語を動かす重要な役どころに?

 連続テレビ小説『おかえりモネ』(NHK総合)第21週「胸に秘めた思い」で、百音(清原果耶)の元を一人の女の子が訪れる。予告編によると中学生のあかり(伊東蒼)は百音に「なぜ気象予報士になろうと思ったのか」を恐る恐る聞いていた。この女の子の正体は何者なのだろうか。

 あかり役の伊東は現在高校生で本作が朝ドラ初出演となるが、6歳の時に『アントキノイノチ〜プロローグ〜 天国への引越し屋』(TBS系)で子役デビュー。映画『湯を沸かすほどの熱い愛』での演技が絶賛され、第31回高崎映画祭最優秀新人女優賞を受賞、そして主演映画『島々清しゃ』では第72回毎日映画コンクールのスポニチグランプリ新人賞を獲得し、“天才子役”の名を欲しいままにした。

 当時から天真爛漫で無邪気な子ども役というよりは、何か事情を抱えなかなか周りとうまく馴染めない周囲から浮いた“異質感”のある役どころが続いていた。

 『湯を沸かすほどの熱い愛』では、一浩(オダギリジョー)が愛人から押し付けられた連れ子・鮎子役というまた難しい役どころを見事熱演した。小さな身体でこの複雑な家庭環境を咀嚼しようとしながらも、大人の都合に振り回され巻き込まれることに慣れっこで早くも諦めさえ滲む大人びた物言いと物憂げな表情が最初は印象的だった。自分を捨てた母親への想いと新しい家族の間で揺れながらも家族の温もりを知り、どんどん周囲に心を許して自分の願望を口に出せるようになる成長過程を健気に見せてくれた。鮎子の泣き笑いシーンには思わず涙を誘われた者も多かっただろう。そして、鮎子がどんどん“子どもらしさ”を取り戻していく姿はなんとも愛おしく抱きしめたくなった。

 『島々清しゃ』でも、主人公で独特の音感を持つ過敏な少女・うみを演じたが、外部の世界をシャットアウトし自分を守るかのごとく付けていた耳あてを徐々にずらし、周囲の音に耳をすませ互いの音を聴こうと共鳴し合うようになる“心の脱皮”を見事に描いてくれた。

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