亀梨和也、『正義の天秤』で際立つ目の演技 年齢とともに演技の幅はさらに拡大?

 「俺にとって、弁護は治療だ!」ーー9月25日からスタートした亀梨和也(KAT-TUN)主演の土曜ドラマ『正義の天秤』(NHK総合)。亀梨は医師から弁護士へと転身した鷹野和也を演じている。亀梨はNHKドラマへの出演はこれが初。本稿では初回放送を振り返りながら、亀梨の演技について触れてみたい。

 物語の舞台は師団坂法律事務所。刑事事件を専門に扱う「ROOM1」でリーダーを務めていた佐伯真樹夫(中村雅俊)が急死し、かねてから佐伯がマネージングパートナーとしてオファーしていた鷹野が招聘された。毎月更新していたという佐伯の遺言書に記していたことからも、鷹野に対する信頼は厚い。

 佐伯の娘・芽依(奈緒)が「メジャーリーガー級の助っ人がROOM1に来てくれます」と紹介したように、「ROOM1」を経営、そして人材育成の面からも立て直しを図ることに。会議室に入るなり、「失礼!……私がその鷹野です」と野球ボールを手にした鷹野が登場。左胸には弁護士バッヂが光る、弁護士らしい3ピーススーツ。ボタンを首元まできっちり閉めた白いYシャツが眩しい。凛々しい眉と目力に説得力が、胸を張った堂々たる姿勢からは自信が、引き締まった体つきからは己に厳しいであろう鷹野の性格が感じられた。

 現状の経営状況について「腐りかけた」を、「腐りきった」に言い直す先制攻撃をみせた鷹野。収益のパーセンテージを挙げた上で、「しかし心配はご無用です。私が来た以上、このROOM1を……本当に戦える集団に鍛え直します」と、ROOM3で企業法務を担当する西園寺清隆(竹中直人)をじっとみつめながら宣言。立ち去るついでに、芽依の耳元で「ワクワクする」と囁きながら、左目の下まぶたがピクリ。元外科医から弁護士へ転身しただけあって、その“ただ者”ではない感は、言葉やわずかな表情、声の抑揚からも伝わってきた。

 ROOM1のメンバーをみるなり「まるでブレーメンの音楽隊だな」と一言。初めて担当する弁護は、釣りボート店のアルバイト店員・保坂修(筧利夫)が、客である大手飲食グループの社長・倉橋龍一郎を溺死させた事件。チームに事件についての見解を聞くも、論外といわんばかりの鷹野。冷徹な人間かと思いきや、保坂との接見では少し表情を緩めて耳を傾ける。緊急避難として扱われる流れだったが、鷹野は会話のわずかなブレから保坂を疑う。

 スーパーボールをポンポンと操り、まるで脳内で壁打ち特訓をするかのように思考を巡らせる鷹野。革張りのチェアに座ってスッとボールを握った姿がカッコいい。「ワクワクするぞ」が口癖。初回から、法廷に立ち、厳しくも熱い“治療”をみせた鷹野。物語の進行と共に少しずつ鷹野の輪郭が浮かびあがってきた。比較的落ち着いた雰囲気の中でも、緩急ある展開がこれまでの亀梨出演作品を思わせ、そして衝撃的なシーンで終えたラスト。第1話から続きが気になって仕方ない展開をみせたと言える。

関連記事