『ハコヅメ』圧勝の理由は軽快な掛け合いと構成 脚本・根本ノンジは原作をどう変換した?
コメディとしての魅力、役者同士の兼ね合い
このドラマの魅力は、そういった構成力と物語の見せ方にとどまらず、警察ドラマがしっかり笑えるコメディとして成り立っているところにもある。これは、絶妙なキャスティングが功を奏したと言っても過言ではない。新人警察官でドジっ子、いつも八の字眉でいる川合は永野芽郁が演じるのにぴったりだし、時々その天然っぷりが演技なのか本人なのかわからないような、“素”の感じが人気の理由として挙がっているようだ。他にも、近年様々な作品で活躍する山田裕貴も限りなく素に近い雰囲気を醸し出している。そこに、既婚者組の戸田恵梨香と三浦翔平の安心感、そして戸田は“元嫁”、永野は“元娘”という共演歴のあるムロツヨシの見守り感が加わり、絶妙なバランスが生まれた。
メインキャストそれぞれの肩の力が抜けて、さぞかし撮影現場も楽しそうな様子が伝わるドラマであること自体、すごく良い。だから視聴者側も、リラックスして役者同士のセリフ回しや面白い掛け合いに思わず笑わされるのではないだろうか。
演出としても、本来の警察ドラマではあまり見ることのないような場面を徹底的に取り上げた根本。特に第4話で川合と藤、牧高が添い寝するシーンは彼が絶対にやりたかったと同インタビュー内で語っている。
「今までの警察ドラマではあんなシーンないですよ、前代未聞だと思います。こういうところが『ハコヅメ』。ああいう、なんともいえないリアルなものは必ず入れたいと思っています」
そうやって「本当にあるんだろうな」という警察の日々のリアリティを捉えつつ、彼らを普通の人間として描くことに徹底されたドラマ版『ハコヅメ』。特別編集回を挟みながらも、最終回に向けて第1話からの謎だった、藤が交番にきた理由となる“守護天使”事件への解決に進んでいる。なんでもない日常をベースに、ところどころでちゃんと主人公(川合)が成長できる事件を挟み、それでもシリアスになりすぎずに笑えて、しっかり収まるところに収まろうとしている本作は、かなりの優等生っぷりを発揮したように思える。
参照:戸田恵梨香と永野芽郁は「より魂を吹き込んでくれている」 『ハコヅメ』脚本家が語る
■放送情報
『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜23:00放送
出演:戸田恵梨香、永野芽郁、三浦翔平、山田裕貴、西野七瀬、平山祐介、千原せいじ、ムロツヨシ
原作:泰三子『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』(講談社『モーニング』連載中)
脚本:根本ノンジ
チーフプロデューサー:加藤正俊
プロデューサー:藤森真実、田上リサ(AX-ON)
協力プロデューサー:大平太
演出:菅原伸太郎、南雲聖一、伊藤彰記
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