『ヒロアカ』轟焦凍、“完璧なのに天然”なキャラの魅力 梶裕貴の絶妙な声色も

 老若男女問わず高い人気を誇る『僕のヒーローアカデミア』。「どのキャラが好き?」という話題では、主人公の緑谷出久をはじめ、爆豪勝己、飯田天哉、相澤消太、ホークス、オールマイト……と、様々なキャラクターの名前が挙がる。それほどまでに魅力的なキャラクターが多い同作だが、必ず名前が挙がるキャラの1人が轟焦凍だろう。

 轟は、主人公のデクのクラスメイト。雄英高校1年A組の生徒だ。プロヒーローであるエンデヴァーの息子で、個性は右半分で氷、左半分で炎を操る「半冷半燃」。実技、学力ともに高い能力を持ち、雄英高校にも推薦で入学を果たしているエリートである。もともと自分にも厳しく、母親を悲しませる父・エンデヴァーに憎しみを抱いていたが、昨今では徐々に関係性が軟化しつつある。ずっと避けてきた母親にも会いに行っており、前向きに変わろうとしていることがわかる。

 そんな轟は登場当初から人気キャラだったように思う。とにかくクールでイケメン、実力もあるともなると納得だ。最初の訓練である「屋内対人戦闘訓練」でも、チームメイトである障子目蔵に「外出てろ、危ねえから」と言うと、個性で建物全体を凍らせて葉隠透&尾白猿夫を無力化して一人で勝利。そして、氷を溶かした後に「悪かったな、レベルが違いすぎた」と平然と言ってのけていた。かっこよすぎる。しかもこの技はほんの序の口で、それ以降ド派手で強い攻撃を次々と繰り出している。広範囲を氷結させ、敵を足止めしたり、足場を作ったりできる「穿天氷壁」、その後に炎を使うことで爆風を起こす「膨冷熱波」、拳に炎を圧縮させて放つ「赫灼熱拳」……など、「半冷半燃」のメリットを最大限に活かした攻撃で数々の敵を倒してきた。時にまだ大雑把と言われることもあるが、幸か不幸か幼少期からエンデヴァーにしごかれまくってきただけあり、戦闘センスもかなり高い。

 強くてクールかつ孤高な雰囲気が魅力の轟だが、意外にも熱さを見せることが少なくない。例えば、クラスメイトの飯田が兄の仇であるヒーロー殺し・ステインに復讐しようとした時。ピンチを救いに来た轟は強敵であるステインにデクと2人で立ち向かう。飯田は「もう止めてくれ……」とつぶやいていたが、恨みつらみで動いてきた飯田の心情を理解できるからこそ、轟は「止めてほしけりゃ立て!」、「なりてぇもん、ちゃんと見ろ!」と喝を入れるのであった。しかし、戦いが終わった後に飯田が涙ながらに謝罪をすると、「しっかりしてくれよ、委員長だろ」といつものクールな轟に戻っていた。こうした切り替えも良い。

 さらに父親への反骨精神からか、轟の中には強い闘志と向上心が秘められており、成長も止まらない。体育祭までは炎の力を封印していたが、No.1ヒーローになるという目標と、エンデヴァー事務所でのインターン中に父の実力を目の当たりにしたことで、より一層闘志と向上心が磨かれていった。もともと実力があったにもかかわらず、まだまだ伸びしろがあるところも轟の魅力の一つだ。

 また、徐々に愛すべき天然キャラを発揮し、ギャップも見せてきている。最近のアニメでも、ヒーローインタビュー練習で天然を発揮。「あなたみたいなイケメンが助けに来てくれたら、私、逆に心臓バクバクよ!」というMt.レディへ「心臓……悪いんですか?」と言ったり、「あなたの微笑みなんて見たら、女性はイチコロよ」というアドバイスにも「俺が笑うと死ぬ……!?」と天然炸裂。愛すべき一面を見せていた。

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