花江夏樹の代表作となった『鬼滅の刃』 竈門炭治郎役が与えた影響とは
『「鬼滅の刃」遊郭編』放送への期待が高まる中、フジテレビ系列局ではアニメ第1期『竈門炭治郎 立志編』の特別編集版を9月11日から5回に渡って放送するほか、9月25日に同局『土曜プレミアム』で『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』をノーカット放送する。主人公・竈門炭治郎を演じた声優・花江夏樹はもともと声優として人気が高かったが、『鬼滅の刃』のヒット以降さらに活躍の場を広げ、バラエティ番組やドラマなど地上波でも目にする機会が増えるなど、声優のファン以外の認知度が急激に上昇した。『鬼滅の刃』以降の花江の活躍に注目しながら、『鬼滅の刃』が花江にもたらせたものについて考える。
竈門炭治郎と重なる、優しく家族思いの人柄
アニメ『鬼滅の刃』は、アニメ第1期を2019年4月から半年に渡って放送。躍動感溢れる戦闘シーン、LiSAが歌った主題歌「紅蓮華」など音楽との相乗効果で生み出される感動、声優陣の魂を込めた役作りなど、原作の魅力を最大値以上に引き上げた丁寧な製作が評価され、「第14回(2019年度)声優アワード」やアニメ専門誌『ニュータイプ』が発表している「ニュータイプアニメアワード2018-2019」といったアニメ関連の賞レースを席巻した。昨年10月に映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が公開されるや人気がさらに爆発し、同映画は興行収入で国内歴代1位の403億2000万円を記録する大ヒットとなった。そんな“鬼滅旋風”が吹き荒れる中、注目を集めたのが花江、鬼頭明里、下野紘ら主要キャラクターを演じた声優たちだ。
その中でも主人公の竈門炭治郎を見事に演じた花江は、まさしく時の人となった。炭治郎は、真っ直ぐ純真でどんな困難にも全力で立ち向かう強さを持ち、慎重にして大胆かつ家族思いの、誰もが応援したくなる魅力を持った屈指の愛されキャラクターだ。花江自身も、心優しい人柄や真面目な仕事ぶりと多くの友人を持つこと、家族思いなことなどで関係者やファンの間で知られる、声優界の愛されキャラクターだと言える。プライベートを明かさない声優も多くいるなかで、昨年9月には双子の赤ちゃんが生まれたことをSNSで報告して話題になった。そうした花江が演じた炭治郎だったからこそ、『鬼滅の刃』はこれほどの反響と共感を呼んだのだろう。
そんな花江は、『鬼滅の刃』の社会現象以前から、TVアニメにこだわらない幅広い活動を続けて来た1人だ。動画配信は有名で、ニコニコ動画での「歌ってみた動画」を経て、2018年から公式YouTubeチャンネルを開設。主にゲーム実況を配信し、登録者数は200万人を超える。劇場版『鬼滅の刃』公開後の2019年10月27日に配信した「炭治郎役の声優 花江が『鬼滅の刃』のゲームをやったらこうなる」は、1600万回以上の再生数を記録した。また、2015年4月から『おはスタ』(テレビ東京)にレギュラー出演し、翌年4月から2020年10月まで約5カ月に渡って番組MCを務めた。
ゲーム好きでトークもイケるとあればメディアが放っておくはずもなく、『鬼滅の刃』のヒット以降の活躍はさらにめざましいものになった。1月2日に放送された『新春大売り出し!さんまのまんま』(カンテレ・フジテレビ系)に下野紘と出演、“鬼滅ファン”だという明石家さんま、椿鬼奴と軽妙にトークを展開。『鬼滅の刃』製作の裏話も披露して反響を呼んだ。また、ドラマ『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)には、ゲスト俳優として荒染右京役で出演。売れっ子漫画家の役柄を、漫画にも親しみ深い花江が見事に演じて話題になった。