戸田恵梨香×永野芽郁、“修羅場”経験者だからこその連帯感 『ハコヅメ』の中毒性

 ご存じの通り、ふたりともNHK朝ドラヒロイン経験者。戸田は2019年後期の『スカーレット』、永野は2018年前期の『半分、青い。』でそれぞれ主演を務めている。半年にわたり、日本で1番視聴率の高いドラマの撮影に参加し、毎日視聴率と自身の関連記事が出る中で主役を張るプレッシャーは相当なもの。戸田と永野が経験したこのハードな状況が、厳しい警察学校の卒業生で先輩後輩という藤と川合の関係性にリンクしているようにも感じるのだ。期(作品)は違えど、同じ修羅場をくぐった者同士にしかわからない連帯感。その俳優同士の信頼関係が藤と川合のバディ感に説得力を生んでいる。

 また、藤と川合に対(つい)のように存在する源と山田の立ち位置もおもしろい。藤と警察学校の同期である源は彼女に対し「マウンテンメスゴリラ」「眉毛を落としたゴリラ」と毒を吐きながら、決して“女性だから”という理由で藤を下に見ない。むしろ、いつまでたっても越えられないライバルとして彼女と接する。男性優位の警察社会において、源の芯が通った柔軟さは救いである。

 藤や源の後輩にあたる山田も川合に対し、正しい先輩としての言動を示す。特に第3話と第4話で起きた女子高校生への痴漢事件で、被害者役として使う検証用の人形に「いつも酷い扱われ方だから」と山田が川合に語り、人形に優しく毛布を掛けるシーンは、本作における弱きものに対する向き合い方を表していると感じた。

 ここまでは芸歴10年の芸人コンビにも見える藤と川合の軽やかなテンポ感と唯一無二のバディ感、源と山田のナイスアシストが前面に出ていた『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』だが、第6話では藤と警察学校時代の同期・桜(徳永えり)の過去にもフォーカスが当たる模様。予告では川合が藤に対して感情をぶつける場面もあった。

 コメディでありながら、被害者を含む弱き人々への優しい視点がつねに存在する本作で、藤自身が背負う傷がどう描かれるのか、そしてその藤に対して川合がどうかかわりを持つのか注目したい。

 そして最後に謝りたい。

 制服警官の扮装で作品ビジュアルに写る戸田恵梨香と永野芽郁の姿を初めて見た時、このドラマが明るい笑いの奥に優しい視点や深いメッセージをここまで織り込んでくるとは思わず、当初スルーしていたことを。今では録画を最低3回は見直すほどハマっている。藤と川合(そして源と山田)に幸あれ。

■放送情報
『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜23:00放送
出演:戸田恵梨香、永野芽郁、ムロツヨシ、三浦翔平、山田裕貴、西野七瀬、平山祐介、千原せいじ
原作:泰三子『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』(講談社『モーニング』連載中)
脚本:根本ノンジ
チーフプロデューサー:加藤正俊
プロデューサー:藤森真実、田上リサ(AX-ON)
協力プロデューサー:大平太
演出:菅原伸太郎、南雲聖一、伊藤彰記
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/hakozume/
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