『おかえりモネ』蒔田彩珠と永瀬廉が東京編を揺るがす? 永浦姉妹と亮の関係性

 予告編によると、亮が「俺、やっぱ、モネしか言える相手いない」と苦しい胸の内を打ち明ける姿と、未知が「ずるいよ、何でお姉ちゃんなの」と涙ながらに訴える様子が描かれているようだ。

 これまでも亮のさりげない優しさに未知が込み上げる嬉しさをなんとかその場では抑えようと照れ隠しをする姿こそ見られたが、未知からは特に踏み込んだ亮へのアプローチは見受けられなかった。亮からすればやはり未知は「同級生の妹」「幼なじみの妹」の域を出ない存在で、頑張りを見守りたい相手なのだろう。亮はかつて百音にだって新次のことを少しでも触れられようものなら「ごめん。そういうのは俺……やっぱいいわ」と、なかなか差し出された手をすぐには掴めない日々が続いていたのだ。ただ、心の奥底に悲しみを抱え込みしまい込んでいたのは百音も同じだ。東日本大震災時に地元を離れてしまっていた負い目や罪悪感をずっとずっと誰にも言えずにたった一人孤独を飼い慣らしている百音の様子をどこかで亮は本能的に察知し、“同士”であると共鳴していたのかもしれない。だからこそ徐々に心を許せたのもあるだろうし、亮から百音への好意の有無は定かではなくとも、そもそも人というのはむしろ自分と違う環境に身を置いていて一定の距離感がある者に対しての方が本音を打ち明けやすい場面だってあるものだ。

 水産業の未来に並々ならぬ想いを抱えて飛び込んできた未知にだからこそ、彼女の夢を挫くようなことがあってはならないと反対に弱音や実情を吐き出し切れないことだってあるかもしれない。もちろん“年上”としての気概もなくはないだろう。

 亮といえば第8週「それでも海は」で幼なじみらに珍しく語気を強め放った「過去に縛られたままで何になるよ。ここから先の未来まで、壊されてたまるかっつうの! 俺らは俺らの好き勝手やって生きていく。俺らが前を向くしかないんだ」と親たちの世代と自分たちは違うんだということを自分にも言い聞かせ奮起させているかのような台詞が印象的だったが、そういえばこの場にも未知はいなかった。またこれを見事に受けていたかに思えたのが第14週「離れられないもの」で耕治から溢れ出した願いだ。「娘が東京で自由に楽しそうに仕事してるの、ホントうれしいんです。娘たちは希望だ。(中略)でも、娘たちだけじゃねぇな。子どもたち全員にこう言ってやりてぇ。どうなっか分からねぇ世の中だ。どこ行ったっても構わねぇ。ただ、おまえたちの未来は、明るいんだって。決して悪くなる一方じゃないって。オレは信じて、言い続けてやりたい」。この見事なアンサーにも感激した。

 菅波(坂口健太郎)も加わった彼らの関係性がどうなるのか、亮の気持ちがはっきり示されるのかにも注目したい。また、姉妹だからこその煩わしく厄介な距離感と、姉妹ゆえの安心感や信頼の上に成立する甘え、嫉妬、羨望、憧れ。一方で2人にしかわからないこれまでのかけがえのない時間や出来事に清原と蒔田が改めてどう向き合い対話していくのか非常に見応えがありそうだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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