千葉真一さん死去に海外でも悲しみの声広がる ハリウッドに与えた影響の大きさを知る
俳優の千葉真一さんが8月19日、死去した。82歳だった。新型コロナウイルスに感染、肺炎を起こしたためだという。
千葉さんの訃報に、海外の映画ファンや媒体、俳優、監督からも悲しみの声が多く上がった。
『Variety』誌では、『キル・ビル』や『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』の作品名とともに、千葉さんの死去を報じた。これまでの経歴を振り返るとともに、ユマ・サーマン演じる主人公ザ・ブライドのために刀を作る寿司屋の店主である服部半蔵(『キル・ビル』)、主人公のライバル・タカシ(ブライアン・ティー)の叔父でヤクザのボスであるカマタ(『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』)などアメリカの映画ファンにとって印象深かったキャラクターが記事内では触れられている(参照:Sonny Chiba, Martial Arts Legend and ‘Kill Bill’ Actor, Dies at 82 of COVID Complications|VARIETY)。
また、ニュー・ライン・シネマが配給し、千葉さんが主演を務めた映画『激突!殺人拳』を、千葉さんが世界的に有名になった作品と紹介、『新幹線大爆破』『けんか空手 極真拳』、『戦国自衛隊』など千葉さんの出演作を挙げている。
SNSでも各所から追悼が捧げられた。
米アカデミー賞公式アカウントは、「サニー千葉こと千葉真一は、50年以上にわたり伝説の俳優、振付師として活躍してきた。6つの格闘技で黒帯を持ち、『激突!殺人拳』『キル・ビル Vol.1』『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』などの映画で、その力強さと深みを加え、魅せつけてくれた。本当に残念だ」とツイート。
『モータルコンバット』のルイス・タンは「真のアクション・レジェンドです。あなたの映画は永遠。あなたのエネルギーはインスピレーションです」とリスペクトを捧げた。
また、千葉と同様に武闘派俳優で知られるマイケル・J・ホワイトも、「サニー千葉、ご冥福をお祈りします。彼はブルース・リーに次ぐ格闘技界の大スターだった。彼は極真空手の先生であり、仲間でもあった」と追悼の意を示した。
海外の映画ファンにとっても大きな作品『キル・ビル』のクエンティン・タランティーノ監督が所有する映画館ニュー・ビバリー・シネマのTwitterアカウントでも、タランティーノ監督と千葉さんの現場での様子を捉えた写真がアップされた。
そのほか『喰らう家』のテッド・ゲイガン監督は「偉大であるサニー千葉が今日、82歳で亡くなった。彼もまたコロナによる犠牲者だ。特撮テレビで活躍し、6つの格闘技で黒帯を持つ格闘技界のレジェンド。彼は東映で120本以上の映画に出演し、何十年もの間、日本で最も人気のあるアクションスターとして愛されていた。こんな日は彼の映画を1本観てほしい」とコメント、米国の大手CATV『アダルト・スイム』やジョー・ダンテ監督も追悼の意を示す「R.I.P」とツイート。
国内でもゲームプロデューサーで映画ファンとして知られる小島秀夫は、「戦国自衛隊のテーマ」が入ったカセットウォークマンの写真とともに追悼を捧げた。
また、Netflix公式アカウントも「千葉真一は『アクションスター』の定義に囚われることのなかった、真の革新者でした。永遠に残る武道と映画の遺産をもたらした男に追悼を捧げる」と千葉さんの近影の写真とともにツイート。
ほか各社サイトも千葉さんの死去を報じる中、『マトリックス』シリーズや『ジョン・ウィック』シリーズなど数多くのアクション名作で主演を務めてきたキアヌ・リーブスとの日本番組での対談時の写真や動画を上げる個人のTwitterアカウントも多く見受けられた。千葉さんの大ファンで知られるリーブス。番組では、サプライズとなった千葉さんの登場に思わず笑みと興奮、そして緊張の面持ちを浮かべるリーブスの姿があった。千葉さんのリーブスへの影響の大きさが見て取れる瞬間でもあったと言える。
空手、柔道など実際の武闘派スポーツの黒帯を多く持っていた千葉さんがアクションを繰り広げるそのリアリティをリーブスは称賛。「武闘派俳優」の概念を広めた俳優の1人であることがこの対談からも分かる。スタントマンに頼らない、命がけのアクションがハリウッドの面々の心を打ってきたからこそ、今回の訃報は多くのメディアでも発信されたのだろう。
そのほか、ミュージシャンのサンダーキャットが追悼を捧げたほか、ゲームサイト、コミック・特撮ファンサイトなども千葉さんの死去を報じており、千葉さんが映画界にとどまらず海外でいかに愛されてきたか、そして、千葉さんの功績の偉大さが改めて実感されることとなった。