超潔癖症の主人公に思わず共感? “愛のジレンマ”と向き合う映画『恋の病』
愛することは、相手をありのまま敬い、許容すること。しかし、理想的だと思われていた生活に対する変化を受け入れるのは簡単なことではない。自分の理想を守ろうとするほどに、エゴが増大していく。本当は変わらずに愛し続けたいのに。
このジレンマは、何もジンとボーチンの潔癖症カップルだけの話ではない。今、私たちは大きな変化が伴う社会に暮らしている。それは、パートナーが変わっていくきっかけが多くはらんでいる時代とも言えそうだ。
例えば、2人のように衛生観念の持ち方が変わったという人もいるかもしれない。どの程度、清潔を保てば心が安定するのかは正解が見えにくく、そのラインを誰かと共有するのも簡単なことではない。
また、働き方も大きく変わってきた。ずっと家の中にいることが窮屈で、自分自身でも驚くほどストレスをためていたという人もいるかもしれない。あるいは、逆にもう外出をする生活は耐えられないと考えている人もいるのではないだろうか。
私たちの愛は、一瞬一瞬試されているのかもしれない。恋に落ちた瞬間の状態から、相手も自分も環境も常に変化し続けているのだから。相手を「変わらないで」と縛り付けておくこともできない。相手に自分の理想を一方的に押し付けることも不可能だ。
どうしたら、止めることのできない変化の波のなかで、誰かを愛し自分自身の幸せを維持することができるのか。この混沌とした今こそ、この映画とともに愛のジレンマと向き合う絶好のチャンスなのかもしれない。
■公開情報
『恋の病 〜潔癖なふたりのビフォーアフター〜』
シネマート新宿・心斎橋ほか全国順次公開中
監督・脚本:リャオ・ミンイー
出演:リン・ボーホン、ニッキー・シエ
配給:エスピーオー、フィルモット
2020年/台湾/カラー/100 分/ビスタサイズ/5.1ch/原題:怪胎/英題:I WeirDO
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