新キャラ登場による今後の展開は? 今期注目アニメ『Sonny Boy』第4話までを振り返る

 第4話「偉大なるモンキー・ベースボール」では、物語に大きな変化が訪れる。新たなキャラクターの登場と、主人公である長良の能力だ。生徒たちがシンクホールに飛び込んで遊んでいる最中、長良の能力が自世界をワープさせるものであることが判明。長良がシンクホールに落とされた際に、一瞬元の世界へと戻ったのだ。しかしこの時点では、長良は能力をコントロールし自在に世界をワープできるわけではなく、無意識での出来事であると話している。

 一方、カットが切り替わり生徒会とラジダニのシーン。明星からの才能への評価を受けたラジダニは、「世界を変える力でなはい、そうだろ?」と謙遜で返すが、明星は微笑んでいるだけで何も言わない。ロビンソン・クルーソー計画にはまだ大事なパーツが足りないというラジダニに、明星は「いずれ救う者が現れるはずだ」と意味深な発言をする。この時点で、物語にはまだ登場していない人物もしくは能力があると推測できる。

 ワープの能力が明らかになった長良は、キャップから野球の練習に誘われる。後日、キャップが整備したという野球場で練習に励む長良たちは、キャップから名選手を数多く輩出したという伝説のモンキー・リーグの話を聞かされる。

 キャップはモンキー・リーグを「この世界、モンキー・マウンテンにボールとバット、野球のルールを落とし始まった偉大なる猿たちの野球リーグだ」と説明している。これまで漂流先である島の名前は明かされていなかったが、長良やキャップたちがいる島のことを指しているのだろう。第4話は、猿らしい動物の鳴き声がこだまする森を生徒が1人で歩いているシーンで始まる。この生徒には猿の姿は見えておらず、一見すると何のシーンだかわからないが、ここにきて「島に猿がいる=モンキー・マウンテン」という伏線だったことがわかる。

 モンキー・マウンテンで猿を見るには、エースの持つ「サル・ゲッター」が必要だ。長良たちは「サル・ゲッター」を賭けエースと野球勝負をすることに。エースは交換条件として、長良の能力で自分たちを元の世界に戻すことを要求した。

 いつどのようにモンキー・リーグが開催されたのかは判然としない。しかし、エースと長良の対決を見ると、モンキー・リーグに登場する野球の天才「モンキー・ブルー」と、選手にはなれなかったが大好きな野球に審判という形で関わり続けた「球審の猿」が2人のメタファーになっているのではないか、と考えられる。

 キャップの説明によると、モンキー・リーグの伝説となった試合は、モンキー・ブルーという猿の最後の一投が決まれば完全試合になる、というところで世界にズレが生じてしまう。球審の猿は世界のズレの影響を受けず、ブルーの最後の一投をボールと判定する。この判定によりブルーは完全試合を逃し、球審は暴徒と化した猿たちにより殺されてしまったというものだ。エースと長良の対決は、この伝説の試合にピッタリ当てはまるのだ。

 キャップが長良を野球に誘うシーンで、エース、キャップ、長良は元野球部であることがわかっている。エースはその名の通りモンキー・ブルーのようなスター選手、長良は大きな活躍のない選手であったことをキャップが明かしており、選手になれず審判となった球審の猿に当てはめることができる。

 対決当初はバットすら振らない長良であったが、エースが最後の一投を投げる直前、球審の猿の姿を見る。本来猿を見ることはできないはずの長良だが、彼の能力であるワープが発動されたのだろう。このワープはモンキー・リーグで起こった世界のズレと同じ現象といえる。選手になれずとも、審判という形で野球に関わり続けた球審の猿を見た長良は、エースの最後の一投に対し、自分の野球生活に終止符を打つようなフルスイングをする。

 結果は三振となるエースの勝利となるが、長良は希たちから健闘を称えられ、勝者であるはずのエースは上海という女生徒に慰められている。試合には負けつつも、自分の気持ちに決着をつけた長良が勝利したような構図だ。そしてこの試合で球審の猿を見たことをきっかけに、長良は自分の能力をコントロールできるようになる。

 いよいよ長良の能力で元の世界に戻ろうとする生徒たち。だが、何度やっても元の世界に帰ることができない。長良の能力は、世界をワープできるものの、行き先を自由に選ぶことはできないのだ。そこに、海からアキ先生と呼ばれる人が登場し「あそびは今日で終わり」と不穏なセリフを残し、第4話は幕を閉じた。

 途中で切り替わるカットは物語の謎を深め、どのシーンが伏線になるか、一瞬たりとも気が抜けない作りになっている『Sonny Boy』。作中で起きる事件やトラブルは生徒たちの成長に繋がる仕組みになっており、まるでロビンソン・クルーソー計画に必要なパーツを揃えるために起こっているように見える。アキ先生の残したセリフは一体どういう意味を持つのか。第5話以降、さらなる展開が待ち受けていそうだ。

■放送情報
TVアニメ『Sonny Boy』
TOKYO MXほかにて放送中
声の出演:市川蒼、大西沙織、悠木碧、小林千晃ほか
監督・脚本:夏目真悟
キャラクター原案:江口寿史
アニメーション制作:マッドハウス
キャラクターデザイン:久貝典史
美術監督:藤野真里(スタジオPablo)
色彩設計:橋本賢
撮影監督:伏原あかね
編集:木村佳史子
音響監督:はたしょう二
音楽アドバイザー:渡辺信一郎
主題歌:銀杏BOYZ「少年少女」
(c)Sonny Boy committee
公式サイト:sonny-boy.net
公式Twitter:@sonnyboy_anime

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