新キャラ登場による今後の展開は? 今期注目アニメ『Sonny Boy』第4話までを振り返る
7月よりスタートしたTVアニメ『Sonny Boy』が盛り上がりを見せている。漂流教室を彷彿とさせる謎めいたストーリー、不思議な能力から生まれる決裂、絆。回を重ねるごとに深まっていく謎から目が離せない、今期注目のアニメだ。今後の展開が気になる第5話に向けて、第1話〜第4話を振り返ってみよう。
※以下、第1話〜第4話までのネタバレを含みます。
第1話「夏の果ての島」の舞台は、周囲が暗闇に包まれた中学校。夏休み真っ只中の8月16日、世界に何らかの異常事態が発生し、登校していた36人の生徒は異世界へと漂流する。物語は、漂流からしばらくが経過し、ある程度落ち着きを取り戻した状態からスタート。主人公は、この異常事態をどうにかしようと奮闘するでもなく、ただ「しょうがない」と受け入れ教室で1人寝そべっている無気力な少年・長良(ながら)だ。
漂流の際に、一部の生徒たちはさまざまな能力を入手する。能力は人により異なり、自分勝手に校内を暴れ回る者、生徒たちを統制しようとする者、元の世界に戻ろうとする者など、校内にはさまざまな立場での対立が生じていく。学校を統制しようとする生徒会の明星からリーダーに任命された男子生徒・キャップは、いきすぎた責任感や支配欲により、まるで恐怖政治のような支配を見せる。それに反抗する生徒もいれば、ただ大人しく従う生徒も、我関せずといった生徒もおり、校内の空気はだんだんと閉塞的になっていく。
そんな空気を一変させたのは、謎の転校生・希(のぞみ)。学校を取り囲む暗闇に向かって走り出し、何かを掴もうと跳躍する。しかしそのまま落下し、物語は新たな漂流へと向かう。
第2話「エイリアンズ」は、美しい青空と海に囲まれた島が新たな漂流場所となっている。水道や電気といったライフライン、食料は確保されており、瑞穂(みずほ)の能力により必要な物資も手に入るという状況。頭脳派のラジダニを筆頭に元の世界に戻るための方法を模索しつつ、ちょっとしたバカンスムードになる生徒も。ところが、島では原因不明の火事が次々と発生し、犯人探しが始まる。
火災事件の犯人ではないかと疑われる瑞穂であったが、ラジダニは火災の原因が「取引方法」であると分析。公正な取引のもとで得たものは燃えず、無償でもらったものなどは青い炎で燃えるという「島のルール」に則った現象であることが判明する。
第1話で生徒会が生徒に罰を与えるシーンがあるが、これも能力ではなく「学校のルール」だったのかもしれない。罰を与えることがキャップの能力であるならば、そのキャップに罰を与えた明星の行動に説明がつかない。しかし、これがルールであるならば、誰が誰に罰を与えても何らおかしいことはない。このように、漂流先の世界にはそれぞれルールが存在すると考えられる。
『Sonny Boy』は、漂流場所での生活からカットが変わり、漂流という異常事態の革新に迫っていくシーンや、生徒会の不審な動きなどが描かれる場面がある。カットが変わるたびに謎が深まり、逆に物語を繋げるヒントにもなる。この絶妙な切り替えが人気のひとつなのかもしれない。
第2話では、瑞穂と生徒会のやりとりが少し生臭く描かれる。選挙で不正をした生徒会長になったポニーと、それをインターネットで告発する瑞穂。そのことを逆手に、半ば脅しのように瑞穂に協力を要請する明星。そして、希の能力「コンパス」も明らかになる。第1話のクライマックスで希が急に暗闇に向かって走り出しのは、コンパスにより出口の糸口を見つけたからなのだろう。
第3話「下駄を履いたネコ」では、長良と希、朝風、ラジダニを中心に、新たな世界を探す活動がされている。現時点で長良の能力は発表されていないが、第2話で元の世界に戻ろうとする「ロビンソン・クルーソー計画」を語るラジダニが「他の世界に繋がる扉を発見したのが長良である」と発言していることから、長良は世界を発見、移動するなんらかの能力の持ち主であると予想できる。
第2話の火災事件が解決されてから約1カ月、島では新たに生徒が化石のようになってしまう「フリーズ事件」が発生していた。漂流先では、能力もしくはルールによって、しばしばこういった不可解な事件が起きる。事件を調査する瑞穂と長良は、フリーズした生徒たちに「居ても居なくても誰も気づかないような人」という共通点を見つける。調査中、瑞穂は「漂流前から能力を使えていた」と告白する。
カットが切り替わり、希は明星から「漂流することは知っていた、声が教えてくれるんだ」と、彼にだけ聞こえる「声」の存在を知らされる。この声が明星の能力なのか、それとも誰かの声なのかは依然として不明だが、第1話、第2話での明星の不気味な笑みや冷静さは、漂流することを知らされていたからなのかもしれない。
引き続きフリーズ事件を調査する瑞穂と長良は、暗幕を発見する。そこには、これまでフリーズされた生徒たちがいた。生徒たちはそれぞれ暗幕の中で快適に過ごしており、島には戻りたくないという。長良たちは、フリーズは誰かの能力ではなく、仲間はずれになると暗幕の世界に幽閉される「仲間はずれはずし」という新たなルールであると推察。「引きこもっていたのではなく、本当はみんな……」と回想する長良だが、これは自分の過去に仲間はずれはずしを重ねているのではないか、とも思えるシーンだった。
第1話では能力を持つ人間やルールが人を支配し、第2話ではルールによって公正な取引が求められ、第3話では、自分の意思とは関係なく引きこもりにされてしまうルールが追加される。漂流という異常事態の中、そこで起きる出来事やルールはやけに現実的で、それもあまり優しくない現実だ。