『あな番』『共演NG』にも出演 秋元康作品に登場する『漂着者』キャストに注目

 秋元康が企画・原作・脚本を手がける金曜ナイトドラマ『漂着者』(テレビ朝日系)。海岸に漂着した全裸の男ヘミングウェイ(斎藤工)の周りで、次々と不思議な出来事が起こる。謎が謎を呼ぶ展開に一役買っているのが、『あなたの番です』(日本テレビ系)、『共演NG』(テレビ東京系)など過去に秋元が企画したドラマの出演俳優たちだ。

 記憶喪失のヘミングウェイを演じるのは斎藤工。役作りについて独自の哲学を持ち、作品を通して新たな視点を提示する齋藤は、『共演NG』でショーランナーの市原龍を演じた。劇中劇『殺したいほど愛してる』の製作総指揮を担う市原は、共演NGという業界のタブーに挑む。ある意味、秋元の分身と言えるのが市原だった。市原とヘミングウェイには作品のコンセプトを背負っている共通点がある。違うのは、市原が外から作品を俯瞰する一方、ヘミングウェイは自身が何者であるかを知らない無垢な存在である点。予知能力や出自をめぐる謎が明らかになるにつれて、ヘミングウェイの言動にも変化が生じる。難役と言って差し支えないキャラクターを任されたのは、与えられた素材に対して期待以上のものを返してくれるという信頼の表れだろう。

 捜査一課の刑事・柴田俊哉役の生瀬勝久は、『あなたの番です』(以下、『あな番』)で103号室の住人、田宮淳一郎を演じた。マンション内の交換殺人ゲームを主題に、2クールにわたって放送された『あな番』で、元銀行員の田宮は、前半では自分が名前を書いた元部下の死をめぐって、また後半では自身が立ち上げた劇団でのエピソードを通じて疑惑の中心にい続けた。『漂着者』で現場叩き上げの柴田は、ヘミングウェイの予知能力にタネがあると疑っており、視聴者の疑問を代弁する立場と言える。神出鬼没の活躍を続ける生瀬を場面に応じてマルチロールで起用することにより、作品に一貫性を持たせ見るものの関心を引き付けている。

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