『TOKYO MER』音羽は敵か味方か 賀来賢人、保身と良心に揺れ動く芝居の妙
最終的に音羽は臍帯脱出に至った妊婦を優先的に処置する決断をする。医師として当然の判断のようだが官僚としては自殺行為で、危機的な状況で背中を押したのは、チーフの喜多見の言葉だった。「あなたの判断に任せます。あなたは医者ですから」の医者は、単に職業的な優先度を意味するものではなく、命を最上位の価値とするメッセージが込められていた。またしても信頼が命をつないだわけで、「死者ゼロ」には生まれていない赤ん坊も含まれる。
医療と政治をめぐっては喜多見も渦中の人物であり、彼の存在自体がMERの爆弾になっている。医療の政治的な側面が「人」の資質に帰着するということは、裏返せば、医療がいかに人間的なファクターに左右されるかの証拠でもある。MERの理念そのものである喜多見が、政治的な難題にどんな答えを出していくか注目したい。
■放送情報
日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS系)
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:鈴木亮平、賀来賢人、中条あやみ、要潤、小手伸也、 佐野勇斗、佐藤栞里、フォンチー、佐藤寛太、菜々緒、鶴見辰吾、橋本さとし、渡辺真起子、仲里依紗、石田ゆり子
脚本:黒岩勉
プロデューサー:武藤淳、渡辺良介、八木亜未
演出:松木彩、平野俊一
製作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/TokyoMER_tbs/
公式Twitter:@tokyo_mer_tbs