『おかえりモネ』は“初恋実らないセオリー”を覆すか 強烈な菅波の「ド新人の空回り」

 人口1300万人の東京を舞台に、百音(清原果耶)と菅波(坂口健太郎)の“1300万分の2の奇跡”がとうとう実現した。

 『おかえりモネ』(NHK総合)第11週「相手を知れば怖くない」では、百音が正式に気象予報士として働き始め、徐々に軌道に乗り出すものの、初めての挫折を経験する。急な雨で冠水したアンダーパスに乗用車が突っ込んで水没した事故をきっかけに、百音は中継で取り上げる気象トピックが水の事故に関わる内容に偏ってしまうようになる。それによって気象のマイナス面ばかりを伝えていないかと視聴者のメールを通じて朝岡(西島秀俊)に指摘されてしまったのだった。

「運命の相手というのは、こちらの心が揺らいでしまいそうになると突然現れたりするものです」

 これは、かつて森林組合での仕事が忙しくなる一方で、気象予報士試験への情熱が薄らぐという“社会人あるある”に直面していた百音の前に、再び朝岡が現れた際の雅代(竹下景子)の語りである。7月25日の深夜に放送された「総集編 前編」を観ていた際には、試験に向かう百音に菅波の送った長文メッセージにある「洗濯(選択)」の誤字が、このコインランドリーでの再会を暗示していたのではないかと勘ぐっていたが、第11週の流れから筆者は菅波が百音にとってのもう一人の運命の相手であることを確信した。

 「あ~もう誰か話聞いて……」と落ち込む百音の後ろから「みんな昼間は忙しいんですよ」とぼそっと話しかける菅波。開いた口が塞がらない百音に、菅波は眉間に皺を寄せ「納得いきませんね」とどこか不満げだ。菅波が籍を置く大学病院と百音が働くウェザーエキスパーツは目と鼻の先。生活圏が非常に近く、コインランドリーを例に日常的に立ち寄る場所も同じだったのにも関わらず、4カ月間(も)百音と絶妙にすれ違っていた(会えなかった)。

 11分。洗濯機が示す残り時間であり、菅波がそのついでに百音の悩みを聞いていられる時間。気象の面白さと全てが水で繋がっている、自然の凄さを実感する一方で、自然の怖さにばかり目がいく視界の狭い人間になってしまった百音。菅波が勝手に分析した百音の今はこうだ。

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