『賢い医師生活』S2第5話は出色の出来の97分 如才ないイクジュンの欠点が浮き彫りに

 エピソードを追うごとに深みを増していく『賢い医師生活』。シーズン2第5話は、テーマとストーリーと技巧が流れるような演出で配された、出色の出来の97分だった。

 DV被害の恐れがある患者をさりげなく支援するイクジュン(チョ・ジョンソク)だが、一線を越えて対処にあたったギョウル(シン・ヒョンビン)は傷を負ってしまう。ギョウルの表情から、「つらいことがあったら話してほしい」と手を差し伸べるジョンウォン(ユ・ヨンソク)。過去の結婚生活に関する打ち明け話をするソッキョン(キム・デミョン)に、「自分の問題点がわかれば半分は成功。解決策は無駄話をたくさんすること」とアドバイスするソンファ(チョン・ミド)。お互いに真意を明かせないまま別れを迎えたジュンワン(チョン・ギョンホ)とイクスン(クァク・ソニョン)は、かつて彼女が「幻覚です」と言いながら現れた場所で鉢合わせをしてしまう。

 あなたの心のうちは、言葉にしなければ秘められたままだ。夫の暴力を恐れる患者、数十年の付き合いの幼なじみに「私の人生はとても語りきれない」と言うジョンウォンの母、妻の不可解な行為を「何も聞かなかった。見逃すのが最善策だと思った」と黙認したソッキョン、深夜に電話をかけてきてあたりさわりのない話しかしないギョウルの母親。シーズン1と2の5話で、虐待加害者を自ら取り押さえるギョウルの向こう見ずな性格が描かれている。どちらも目撃しているジョンウォンは心配するが、ギョウルは1人で思い悩んでいた患者が社会福祉士や看護士に相談することによって解決策を見出す瞬間を目撃し、何かを感じ取ったようだ。寡黙で自己完結しがちなソッキョンも、結婚生活の後悔と元妻への罪悪感をソンファに打ち明け、ようやく前へ進めるような表情をする。第1話から描かれてきた子どもの心臓移植を願っていた母親は、規則通りにドナーに無言の感謝を贈るのではなく、言葉と行動で想いを伝えようとする。このエピソードで描かれる不安や懸念の共有と一線を越えた救いの手に、勇気づけられた人も多いだろう。

 第5話のテーマによって、如才ないイクジュンの欠点が浮かび上がってくる。いつも通り機転を効かせ、DV被害の疑いがある患者の病棟に警備員を配備したイクジュンだが、ともに診療を担当するチームのギョウルやソン看護師には共有しておくべきだった。少なくともギョウルの怪我は防げたはずだ。どんな問題も1人で悩み解決させるイクジュンの性格は、シーズン1からずっと描かれている。シーズン2で、イクジュン&イクスンの兄妹は、兄の親友たちにも明かせない秘密を抱えてしまう。考えるよりも行動が先に出るジュンワンだが、今回は1人で抱え込み苦悩している。彼の傍には、そんなギリギリのSOSを感じ取って世話を焼くジョンウォンと、聞けば得意顔でアドバイスをくれる胸部外科レジデントのジェハク(チョン・ムンソン)がスタンバイしている。

 対比として描かれるのが、ソッキョンと産婦人科レジデントのミナ(アン・ウンジン)の関係。ミナはシーズン1から変わらず(「変わったらダメですよ〜!」というセリフもあった)常に悩みや想いを言語化し、1日1つまでと限定されている質問を直球でぶつけていく。もう1人は、病院間を行き来しVIP病棟の手術をしながら、レジデントやインターンの指導をするソンファ。シーズン2で彼女がどんな境地に達したのか直接的には描かれていないが、第4話にはコーヒーを片手に病院周辺を散歩しながら無駄話をするシーンがある。第5話では、第3話で彼女が受けたバトンを渡すようにソッキョンに気付きを与え、「800歳に見える」とヨーダのような扱いを受ける。シーズン1第1話、ダースベイダー姿で登場したのは誰だっただろうか?

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