アニメ『進撃の巨人』新シーズン放送に高まる期待 リアルに入り組んだ物語と作画を解説

 これまでエレンたちパラディ島陣営の視点で語られていた世界が、調査兵団に潜入していたライナー・ブラウンや、同朋を殲滅するように教え込まれた少年兵ガビ・ブラウンとファルコ・グライスたち、マーレ陸軍エルディア人部隊の面々の視点からも語られることで重層さを増し、現実世界の思想による対立や報復による戦いの連鎖を想起させるほどだ。

 The Final Season Part1からは制作会社が、これまでのWIT STUDIOからMAPPAに変わり、作画もそれまでの主線やエッジハイライトを強調していたものから、特徴的な縦線の再現などより原作に近いタッチとなったが、それらもこうしたリアル路線の補強に貢献しているように感じる。

TVアニメ「進撃の巨人」The Final Season PV

 これまでもアニメ『進撃の巨人』では、各Seasonの制作に当たり、著者の諫山創から連載時に思い残した点、コミックス発売後に思い直した点など変更の要望を聞き、修正を施してきた。そういった意味でアニメの『進撃の巨人』は原作者の意向が反映された最終決定版、映画でいうところのディレクターズカットといえる。

 6月に原作最終34巻が発売された際、各界から称賛の声が寄せられたのは記憶に新しいが、『The Final Season Part2』で『進撃の巨人』は、どんな結末を観せてくれるのだろうか。今冬を期待して待とう。

■倉田雅弘
フリーのライター兼編集者。web・紙媒体を問わず漫画・アニメ・映画関係の作品紹介や取材記事執筆と編集を中心に、活動している。Twitter

■放送情報
TVアニメ『進撃の巨人』The Final Season 第76話「断罪」
NHK総合にて、今冬放送予定
※放送日時は変更になる場合あり
キャスト:梶裕貴(エレン・イェーガー)、石川由依(ミカサ・アッカーマン)、井上麻里奈(アルミン・アルレルト)、下野紘(コニー・スプリンガー)、小林ゆう(サシャ・ブラウス)、三上枝織(ヒストリア・レイス)、谷山紀章(ジャン・キルシュタイン)、細谷佳正(ライナー・ブラウン)、朴ロ美(ハンジ・ゾエ)神谷浩史(リヴァイ)、子安武人(ジーク)、花江夏樹(ファルコ・グライス)、佐倉綾音(ガビ・ブラウン)、沼倉愛美(ピーク)、増田俊樹(ポルコ・ガリアード)、村瀬歩(ウド)、川島悠美(ゾフィア)、松風雅也(コルト・グライス)、
原作:諫山創(『別冊少年マガジン』連載/講談社)
監督:林祐一郎
シリーズ構成:瀬古浩司
キャラクターデザイン:岸友洋
総作画監督:新沼大祐
演出チーフ:宍戸淳
エフェクト作画監督:酒井智史、古俣太一
色彩設計:末永絢子
美術監督:小倉一男
画面設計:淡輪雄介
3DCG監督:上薗隆浩
撮影監督:浅川茂輝
編集:吉武将人
音響監督:三間雅文
音楽:澤野弘之/KOHTA YAMAMOTO
音響効果:山谷尚人(サウンドボックス)
音響制作:テクノサウンド
アニメーションプロデューサー:松永理人
制作:MAPPA
(c)諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会
公式サイト:https://shingeki.tv/final/
公式Twitter:@anime_shingeki

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