『おかえりモネ』夏木マリ、西島秀俊ら清原果耶を導いた大人たち 登米パートを振り返る

 『おかえりモネ』(NHK総合)の第7週「サヤカさんの木」では、百音(清原果耶)とサヤカ(夏木マリ)には意外な共通点があることが分かった。誕生日が同じ9月17日で、台風の日に生まれたということ。それだけでなく、自然の中で誰かのために役立つことで生き生きと輝くということだ。

 百音の祖父の龍己(藤竜也)とサヤカはとにかく仲がいい。その縁があって、百音は高校卒業と同時に登米の森林組合に就職。サヤカの家に下宿させてもらっている。

 登米に来て2年になる百音は、仕事にも慣れ、森林組合の中で頼りにもされている。参事の川久保(でんでん)や課長の翔洋(浜野謙太)たちのような優しくて、楽しんで仕事をしている大人たちに囲まれてリラックスできる環境が百音の心を軽くしてくれていることもある。

 震災によって無力感に苛まれ、やりたいことも将来の希望も見えなくなってしまった百音が登米で過ごすことになったのは必然だったと思えるほど、百音は登米で自分らしさを取り戻していく。森の仕事にもやりがいを見出し、少しずつ「誰かの役に立つ」こともできるようになっていく。

 サヤカは半分冗談のように「私は山の神様から山を預かってるの」「私は山の神様の怒りを鎮めるためにここに無理やり連れてこられたの。そして、その役目を継ぐのはモネ、あなたよ」と言った。しかし、その言葉とは逆に、百音は神様に導かれるように菅波(坂口健太郎)や朝岡(西島秀俊)と運命的に出会い、「気象予報士」への思いを募らせていく。

 鉄仮面だった菅波は、気象予報士試験の勉強を百音に教える中で、いつしか百音の前では自然な笑顔を見せる。そんな距離を縮めていく2人を、優しく見守るカフェ「椎の実」の従業員の菊地里乃(佐藤みゆき)や、常連客の仲良し3人組の吉田さん(大島蓉子)、井上さん(高栁葉子)、小野さん(関えつ子)。サヤカをはじめ、森林組合のみんな、カフェのみんな、誰一人として嫌な人間はおらず、全員が善人だ。

 優しい人々がいて、やりがいのある仕事もあって、勉強を教えてくれる菅波もいて(少しずつ恋の可能性も芽生えて)、百音にとって登米は何も申し分のない環境だ。登米のシーンでは食事シーンも多く映される。彼らが楽しそうに会話をする様子は、観ているこちらも一緒にその場に参加しているような明るい気持ちになってくる。

 そんな安住の地を離れてでも、百音は「気象予報士」へと惹かれていく。第7週で再び登場した朝岡は、百音の本心を突くように語りかける。

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