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アボミネーションに『ドクター・ストレンジ』ウォンも? 『シャン・チー』予告編を考察

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「シャン・チー/テン・リングスの伝説」予告【最強ゆえに力を封印!優しすぎるヒーロー誕生編】

 6月25日、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の新作『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(9月3日公開予定)の予告編が公開されました。MCU×カンフー映画のノリが楽しいですが、ファンをビックリさせたのは、この予告の最後にアボミネーションらしきキャラが登場することです。このアボミネーションというのは、2008年のMCU2作目『インクレディブル・ハルク』に登場したヴィランです。

 映画の設定ではハルク打倒に執着する軍人エミル・ブロンスキー(演じるのはティム・ロス)が超人血清などを投与して変異した、“白いハルク”ともいうべき怪物。その後のMCUに登場する噂もあったのですが実現せず。しかしこの『シャン・チー』の予告に電撃的に“復活”したことによりファンは大騒ぎでした。日本でも“アボミネーション”の名がトレンド入りしたようです。副題の“テン・リングス”はMCU1作目『アイアンマン』から登場する悪の組織に由来するものでもあり、つまり『シャン・チー』にはMCU1作目、2作目の要素が散りばめられています。シャン・チーはアジア系でマーシャルアーツの使い手という、異色のMCUヒーローです。だからこそ初期2作と意図的にリンクさせることで、シャン・チーも王道のMCUヒーローであるということを打ち出したいのかもしれません。

 もう一つシャン・チーが“MCUっぽいな”と思わせるのは、予告を見る限り、父親がヴィランということです。けっこうMCUに出てくるヒーローたちの父親はひどい奴が多い(笑)。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』に登場したスター・ロードの父エゴ、義理の父とはいえガモーラ、ネビュラの父サノス。またソーの父オーディンやブラックパンサーの父で先代ブラックパンサーのティ・チャカが過去に犯したことが大きな災いになって息子たちに返ってきます。アイアンマンことトニーの父ハワードやワスプの父ピム博士も、子どもたちにとって時々トラブルメーカーです。そう、MCUは“父と子の話”が意外に多いんですね。『シャン・チー』もその路線でしょう(もっともこれは映画オリジナルというわけではなく、シャン・チーの父が悪の組織のボス、というのはコミックの設定に由来します)。

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