『まめ夫』とわ子と八作の“ありえたかもしれない人生” 最終話は全く想像がつかない結末に?

 いよいよ残すところあと2話となった『大豆田とわ子と三人の元夫』(以下、『まめ夫』)。カンテレ・フジテレビ系で21時から放送されている本作は、住宅建設会社しろくまハウジングの社長・大豆田とわ子(松たか子)と、三人の元夫の関係を描いたドラマだ。物語は第7話以降、第2章に入っており、外資系ファンド・マディソンパートナーズの法務部長の小鳥遊大史(オダギリジョー)ととわ子の関係が描かれてきた。

 ビジネスの上では社長のとわ子を辞任に追い込もうと敵対する小鳥遊だったが、プライベートでは、とわ子と休日に食事をする中で、次第に二人の心は通じ合うようになっていた。やがて小鳥遊は会社を辞めて、知り合いから誘われていたマレーシアの会社で働こうと考えていた。

 「人生を一緒に生きるパートナーになってくれませんか?」と言って、一緒にマレーシアで暮らさないかと誘う小鳥遊。とわ子は嬉しかったが、娘の唄(豊嶋花)のことや、会社のことがあるため、返事ができずにいた。

 『まめ夫』の第9話は、プロポーズされたヒロインが男といっしょに海外に行くか、今の仕事を続けるために日本にとどまるのか? という二択に悩まされるという、恋愛ドラマの最終話で描かれる定番の展開となる。

 もちろん一癖も二癖もある坂元裕二の脚本だ。最終話の手前で、あえてベタな展開を持ってくるのだから、今まで同様、予想外の展開が待ち受けているのではないかと、警戒しながら観ていた。

 やがて、マディソンパートナーズに検察が入り、社長が不正取引の疑いで家宅捜索を受けるという展開になる。

 小鳥遊は「社長案件」で、事件には関わっていないようだが「ただ、これは僕にとっていい知らせです」と言った後「恩人と争うことなく旅立つことができる」と同時にしろくまハウジングの買収も頓挫するので、とわ子も安心して会社を辞めることができると言った後、「支度が整ったということです」と冷静に話す小鳥遊を見ていると「彼が社長のことを告発したのではないか?」と邪推してしまう。

 このあたりは、今までの『まめ夫』がそうだったように真相はわからないが、一見おしゃれなラブコメに見えて、こういう不穏な物語が背後に見え隠れするのが本作の面白さである。

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