尾野真千子が語る監督・石井裕也の存在 『茜色に焼かれる』は「今しか撮れない」作品に

「すごい愛情の中で芝居をやっている」

――尾野さんご自身もコロナ禍を経験されている中で、この作品を演じてみて感じたことはありますか?

尾野:憎い敵ですよね。コロナにいいイメージなんて1つもないけど、もしかしたら、コロナのおかげで、この作品は作れたのかもしれない。コロナがなかったらこの作品はなかったのかもしれないと思うと、99%嫌いなコロナだけど、コロナのおかげで、この作品が出来たし。人数を減らして、ソーシャルディスタンスで撮影する必要もありましたが、でもそのおかげで、スタッフとすごく絆が深まり、団結力が生まれ、現場では嫌なことが全くなかった。だから、そういう面では、この時期に撮れてよかったなと感じています。

――実際、撮影に関しては、2019年以前とは全く別の労力がかかってきているんですよね。

尾野:そうですね。買わなくていいものを買わなきゃいけないこともあるし。芝居もマスクつけたままテストして、本番だけ取って撮影してと。もどかしい気持ちでいっぱいです。

――そういった感情すらもスクリーンに映し出されているようです。

尾野:でも、監督が石井さんだから、いい効果を出しているような気もします。だから、石井さんの作品に対しての思いがとても熱く、いい意味で重いものになっているから、みんなやっぱりそれに引っ張られてついてくるんですよ。その姿とかを見ていると、やっぱり映画っていいなって思うし、出会いたかった人だなと。石井さんは、モニターを見てチェックをしているわけじゃないんですよね。一切モニターを見ずに、私たちの芝居を自分の目で見ている。きちんと自分で画角もわかった上で、私たちの芝居を真剣に見てくれていて、だから役者陣も不安がない。すごい愛情の中で芝居をやっているので、すごくぜいたくな現場だったと思います。

――役者さんとしては、全幅の信頼を置いて、自分が持っているものが出せる環境なんですね。

尾野:心強かったですよ。たぶん、どの部署のスタッフも心強かったんじゃないかな。それぞれの部署みんなが安心してできるというか、ちゃんと軸として監督がいてくれるから。

――この映画に救われる人はたくさんいるんじゃないかと思います。

尾野:救われるかどうかはわからないけど、今回の映画をやって、救われなくてもいいというか、この想いが届いたら何か変わるのかなと思ったりします。この思いが伝われば、その人たちの思いも何か変わってくれるのかな。見方はいろいろだろうなと思います。この作品を観てさらに怒る人もいるかもしれない。でも、同じ境遇の人とかが観たときに、「自分と同じ気持ちだ」とすっきりする人もいるかもしれない。いろんな思いがあっていい。映画はきっとそういうものだから。共感してほしくて作ってるわけでもないから、「思いよ届け!」と思ってやっている。いろんな気持ちになってくれたら、私たちは嬉しいなと思います。

■公開情報
『茜色に焼かれる』
全国公開中
出演:尾野真千子、和田庵、片山友希、オダギリジョー、永瀬正敏
監督・脚本・編集:石井裕也
製作幹事:朝日新聞社
制作:RIKIプロジェクト
配給:フィルムランド、朝日新聞社、スターサンズ
2021年/日本/144 分/カラー/シネマスコープ/5.1ch/R-15+
(c)2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ
公式サイト:akaneiro-movie.com

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