百田夏菜子×佐々木彩夏の“ももクロ共演”も 『コタローは1人暮らし』物語は少しずつ核心へ

 「我々は、大人びてるあの子に慣れちゃいけない」ーー。コタローを探し、鈴野弁護士事務所にやってきた狩野は、所長の鈴野(光石研)からコタローの日記の存在や過去の言動を聞き、喧嘩の原因となった行動に隠されていたコタローの想いを知ることとなる。

 メイド喫茶に行ったのは、ただ「おかえり」と言われたかったから。高級なティッシュを使うのは“甘いから”ーー。ネグレクト(育児放棄)を受けた子どもは、ときにティッシュを口にすることがあると鈴野は言う。そして、2日もあればポストから溢れる何社もの新聞は、自分に何かがあったときに気づいてもらうためなのだと。

 自分で鍵を開け、ドアを開け、誰もいない部屋を見つめながら「わらわには家出はできぬのであるな」と呟くコタロー。迎えにきた母親に抱きしめられ素直に甘えるタクヤの姿を、心配でたまらないという母親の表情を、コタローはどんな想いで見つめていたのだろう。そこへ、コタローを探し回っていた狩野が帰ってきた。主題歌「ひとりにしないよ」が流れる、そのタイミングが絶妙だ。

 口は悪いし、5歳児相手に同じレベルで喧嘩をするけれど……狩野の「心配」は、どんな言葉を並べるよりもその汗だくの服とヘロヘロになった姿から伝わる。家を空ければ必死に探してくれる人が、どんなに喧嘩をしても帰ってくれば「おかえり」と言ってくれる人が、知らぬ間に優しく寝顔を見つめている人が、今はコタローの隣にいる。一人じゃない。

 今回、メイド喫茶の“あーりん”としてももいろクローバーZ・佐々木彩夏がゲスト出演。百田とも共演を果たした。情が深いゆえ、葛藤を抱えながらもコタローと真摯に向き合う綾乃を、コミカルとシリアスの両側面から上手く演じている百田。凛とした声と表情にも驚かされる。頼れる弁護士として、コタローを見守る優しい大人として、綾乃は本作になくてはならない存在だ。

 「母上にまた会えるであろうか」。次回予告にあった、コタローの言葉。物語は少しずつ核心へと、結末へと近づいている。

■新 亜希子
アラサー&未経験でライターに転身した元医療従事者。音楽・映画メディアを中心に、インタビュー記事・コラムを執筆。Twitter

■放送情報
『コタローは1人暮らし』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:30~0:00放送
出演:横山裕、川原瑛都、山本舞香、西畑大吾(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)、百田夏菜子(ももいろクローバーZ)、生瀬勝久、光石研、峯村リエ、大倉孝二、イッセー尾形、出口夏希
原作:津村マミ『コタローは1人暮らし』(小学館)(『ビッグコミックスペリオール』で連載中)
脚本:衛藤凛
音楽:篠田大介
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサー:都築歩(テレビ朝日)、尾花典子(ジェイ・ストーム)、松野千鶴子(アズバーズ)、岡美鶴(アズバーズ)
監督:松本佳奈 ほか
制作協力:アズバーズ
制作著作:テレビ朝日、ジェイ・ストーム
(c)津村マミ/小学館(『ビッグコミックスペリオール』連載中) (c)テレビ朝日

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