『おかえりモネ』あまりにも悲しい百音の「そこにいなかった」真相 音楽をやめた理由とは
確かにこのように百音の人生を振り返ると、そこには常に音楽があった。むしろ音楽が中心だった。しかし、その音楽を愛する自分の感情を優先させてしまったが故に幼なじみとの“約束を破って”、地元に戻らなかった。これこそ、「そこにいなかった」の真相であり、百音の抱える罪悪感や負い目の正体なのだ。だから音楽はもうやってはいけない、そんなふうに彼女が自分の愛するものを、父との絆も、歩んできた過去も、そして未来の可能性さえも手放してしまったのかと考えるとあまりにも悲しい。誰も、3月11日にあんなことが起きるなんて思っていなかった。「遅れてごめん~!」と、本来なら百音が笑顔で幼なじみたちの元に戻れたはずだったのに。あの日、何の変哲もない一日として過ごしたからこそ、百音に限らずたくさんの人に生じた後悔について考えると、本当にやるせない。
明日の第15話は、この出揃ったピースが全てはまっていくはず。過去を振り返った百音は、どのように未来に目を向けることができるのだろうか。
■アナイス(ANAIS)
映画ライター。幼少期はQueenを聞きながら化石掘りをして過ごした、恐竜とポップカルチャーをこよなく愛するナードなミックス。レビューやコラム、インタビュー記事を執筆する。湖畔でキャンプがしたい。Instagram/Twitter
■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK