広瀬すずが考える、役者の仕事の醍醐味とこれからのこと 心に響いた吉永小百合の言葉とは
現在放送中の『ネメシス』(日本テレビ系)では櫻井翔とW主演を務めるなど、ドラマや映画などで大活躍中の広瀬すず。そんな広瀬が吉永小百合と初共演を果たした映画『いのちの停車場』が5月21日より公開中だ。日本の現代医療制度の問題点、尊厳死や安楽死などの医療制度のタブーに向き合い、それらに携わる医師、患者、その家族が織りなす人間模様が描かれる本作に、「まほろば診療所」の訪問看護師・星野麻世役で参加した広瀬すずはどのようなことを感じたのか。大女優・吉永小百合から学んだことや、役者という仕事の醍醐味について語ってもらった。【インタビューの最後には、コメント動画&サイン入りチェキプレゼント企画あり】
「日常のちょっとした1コマを“当たり前”と思わずに」
ーー現役医師であり作家としても活躍する南杏子さんの小説を映画化した今回の作品、率直にどのような印象を持たれましたか?
広瀬すず(以下、広瀬):ひとつの命だけではなく、何人もの方の命が描かれているのも見どころだと思います。それぞれの人生にいろんな選択肢が考えられて、他人事としては観られませんでした。コロナ禍で“死”というものの捉え方も変わってきた今、とても考えさせられる作品になっていると思います。
ーー命に関してのいろいろな選択や、人生とは何かといったテーマも描かれています。
広瀬:私自身、この作品に出会っていろんなことを考えました。それこそコロナ禍になって、人に会えなくなったりしましたが、会えずに亡くなってしまった方もいると思います。映画の中で、石田ゆり子さん演じる中川朋子さんが、吉永さん演じる咲和子先生に会いに行って、思い出に残る写真を一緒に撮ったりしますが、今はなかなかそういうことができなくなっているからこそ、日常のちょっとした1コマを“当たり前”と思わずに過ごすことが大事なのではないかなと。そういう時間が、結果的に人生の中で一番楽しい時間だったと思えるんじゃないかなと考えたりしました。誰かと話したりご飯を食べたり、そういう些細な瞬間をもっといっぱい作りたいなと思いましたし、同時に、そういうことが気軽にできなくなってしまった現状に対して、悔しい気持ちが芽生えてきました。
ーー映画では、広瀬さん演じる星野麻世と松坂桃李さん演じる野呂聖二が、作品の中で“光”となるような明るい存在として描かれています。お二人は成島出監督から「“太陽”のような存在でいてほしい」というリクエストがあったそうですね。
広瀬:そうですね。「“太陽”ってどういうことだろう?」とは思いましたけど……(笑)。麻世ちゃん自身も壮絶な過去を抱えているんですけど、割とけろっとしたように見えたほうがいいのかなと思ったので、そこは意識して演じました。それこそ、自分がこの映画に感じた、“生きることに希望がある”というのは、ある意味、麻世ちゃんと野呂っちから感じ取ってもらえるんじゃないかと思います。たとえトラウマだったり辛い過去があっても、“生きる”のはどれだけ素晴らしいことか。人を助けたり人を幸せにしたりするのはものすごく大変だけれど、どれほど素晴らしいことなのか。そういう希望を受け取ってもらえたら一番嬉しいですね。