南沙良、目標の存在・新垣結衣に続くか? 『ドラゴン桜』はさらなる飛躍のきっかけに

 『ドラゴン桜』第2シリーズ(TBS系)にて民放連続ドラマへの初出演を果たし、キーパーソンとなる生徒役の一人を演じている南沙良。おそらく多くの視聴者にとって、彼女のポテンシャルは未知数なのではないだろうか。主人公・桜木建二(阿部寛)の受け持つ生徒役の一人というと、その責務は大きい。本作の盛り上がりを左右する重要なポジションに、南は置かれているのである。

 南とともに生徒役として並ぶのは、高橋海人、平手友梨奈、加藤清史郎ら。高橋はアイドルグループ・King & Princeのメンバーとして活躍する一方で、俳優業を活発化させているところであり、同じくアイドル出身の平手も俳優業を本格化させ、すでに結果を出しつつある。そして、子役時代に「こども店長」として広く親しまれた加藤は、子役出身者の課題である“子役のイメージ払拭”をしつつあるところだろう。いずれもがすでに多くの視聴者に知られている存在ではあるが、俳優として過渡期にある存在だ。そういった意味で今作への南の登場も、次なるステージへのワンステップといえるのだろう。とはいうものの、連続ドラマへの出演こそ初めての南ではあるが、映画界では豊かなキャリアを築き上げつつある俳優だ。映画ファンにとってはすでに欠かせぬ存在であり、将来を嘱望している方も多いはず。映画界におけるこれまでの彼女の功績を振り返ってみよう。

 南は、ローティーン向けファッション雑誌『nicola』(新潮社)の専属モデルとして芸能活動をスタート。新垣結衣や二階堂ふみ、永野芽郁らと同じく、いわゆる「ニコモ」出身者である。2017年に公開された映画『幼な子われらに生まれ』で、不器用な大人たちによる家族の物語に一石を投じる少女役として出演し、俳優デビュー作ながら重要なポジションを担った。その1年後の2018年には、マンガ家・押見修造による『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』の実写化作品に蒔田彩珠とともにダブル主演。吃音症に悩む少女が、友人や音楽と出会うことによって少しずつ変化していくさまを瑞々しく演じ上げた。浅野忠信や田中麗奈らに囲まれた『幼な子われらに生まれ』とは異なり、こちらの作品はまだ10代の二人が主演。この組み合わせが良かったというのもあるが、南は作品を率いることができる存在、つまり主役として作品の顔になれる存在なのだと示していたと思う。

『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(c)押見修造/太田出版 (c)2017「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会

 同じく2018年公開の『無限ファンデーション』で単独主演を果たし、“即興劇”に挑戦。本作で彼女の表現者としてのポテンシャルが広く知れたのではないかと思う。続く2019年には時代劇『居眠り磐音』にも顔を見せ、2020年はまたも単独主演作『もみの家』が公開。心を閉ざした少女が、近しい境遇の少年少女や豊かな自然の中で成長していくさまを丹念に演じていた。……と、これだけ記せば、南がどれほど注目されている存在なのか分かることだろう。約1年の公開延期を経て日の目を見ることとなった『太陽は動かない』では、主人公の記憶の中で生き続けるヒロインという大役を担い、少ない出番ながら絶妙なバランス感覚で彼女の存在を映画に刻んでいたと思う。

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