新田真剣佑の俳優としての“真価” 『るろうに剣心』と『イチケイのカラス』の大きな違い

 満を持して公開となった『るろうに剣心 最終章 The Final』にて、主人公・緋村剣心の宿敵役として姿を見せている新田真剣佑。メインキャスト陣の中でも年少の彼だが、その貫禄は申し分なし。主演の佐藤健と熱いぶつかり合いを展開させ、対等に張り合ってみせている。一方、放送中のテレビドラマ『イチケイのカラス』(フジテレビ系)では、正反対ともいえるキャラクターに扮している新田。いま多くの方が、彼の俳優としての“真価”を知ることができる絶好の機会となっているのだ。

 まず、『るろうに剣心 最終章 The Final』での新田についてみてみよう。同作で彼が演じているのは、雪代縁という男。剣心の左頬にある“十字傷”の秘密を知る存在であり、剣心に対して計り知れないほどに強大な憎悪の念を抱いている存在だ。それもそのはず。縁は、かつて剣心が“人斬り”だった頃に惨殺してしまった妻・雪代巴(有村架純)の弟なのだ。彼の憎しみは、ほかの“同士”たちの剣心への憎しみと共鳴しあい、増幅。これに剣心たちが立ち向かうというのが、本作のメインストーリーである。このことから、本作における新田のポジションがいかに重要なものか分かるだろう。彼こそが物語を駆動させる、最重要人物なのである。

 縁は剣心のかつての妻の弟とあって、主演の佐藤よりも年少の者が配されるのは当然といえば当然のことだろう。新田の世代に優れた若手俳優は数多くいる。しかし、ほかの者が縁を演じているところを想像してみてもどうにもピンとこない。縁役は求められるものが多く、非常に大きい。剣心に対する憎しみを表現する力、圧倒的な強さを体現する高い身体能力、そして、“ラスボス”と呼ぶにふさわしい体格。これらが揃っていなければならない。つまり、「心技体」の三要素がバランスよく備わっていなければならないのだ。

 この点、新田は適役だといえるだろう。彼の代表作の一つである『ちはやふる』シリーズ(2016年〜2018年)では、冷静沈着な性格の少年が“競技かるた”を通して熱くなる姿を見せ、初の単独主演映画『ブレイブ -群青戦記-』(2021年)では、自分に自信のない主人公像がやがてみなを導く存在へと変化していくさまを体現した。いずれも何かを起爆剤として、胆大心小な変貌をとげるキャラクターたちである。今作における縁の“剣心に対する憎悪の念”は、この起爆剤にあたるだろう。新田は縁の“怒り”や“憎しみ”の感情を、豊かなバリエーションで示している。身体能力に関しては言わずもがな。諸作で見せてきた彼の身体のポテンシャルが、アクションが肝となる本作で現前化したようだ。

 そして、これまでにも作品ごとに適した肉体改造を行ってきた新田にとって、今回のビルドアップも見事なもの。ワンシーンだけでも目にすれば、先に記した「心技体」の三要素がバランスよく彼に備わっていることが分かるはずである。縁が発するセリフの一つひとつの重み、豪快かつスピーディーで軽やかなアクションーー日本が誇る人気シリーズの大役抜擢に、新田はふさわしい存在なのだ。