東出昌大が考える“いい演技” 松山ケンイチ、柄本時生との5年ぶりの共演で気づいたこと

『BLUE/ブルー』東出昌大が演技を語る

松山ケンイチ、柄本時生との共演は「食らいつくつもりで」

ーー東出さんはもちろん、松山さんも柄本さんも、今の日本映画界でストイックに役者業を務めてきた方だと思います。今回、お二人とは『聖の青春』以来5年ぶりの共演になりますが、当時を振り返ってみていかがですか?

東出:松山さんも時生くんも、僕が俳優業を始めた時から第一線でずっと活躍されている方なので、こうして肩を並べるのも恐れ多いという感情はあります。ただそんなことを言っていたらそもそも同じ土俵に上がる資格はないと思うので、食らいつくつもりで『聖の青春』のときも『BLUE/ブルー』もやりました。5年経ってもみなさん変わらず素敵ですし、常に試行錯誤しているんだと先輩方の背中を見ていると感じます。

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ーーご自身の変化についてはどうでしょう?

東出:カメラの前に立つことの恐怖感が薄れてきたというか、度胸はついたように思います。でも、それって自分の中の“錆”というか、なにか方程式として出来上がったものがあるということの裏返しにも感じていて、不安もあります。悩ましいですね。ただ本作に関して言えば、なるべく日常の“発声”という所作の中にもいろんな種類の声を織り交ぜたり、そういう試行錯誤ができました。いい声でお芝居をするというのは先ほど言ったような“出来上がってしまった方程式”に近いんですが、今回は、マイク乗りの悪い声や、聞き取れるかどうかぐらいの小さな声を出すとかいろんな工夫をしましたね。

ーー具体的には?

東出:バスタオルを取りに行って部屋で一人で「あれ? 俺、何取りにきたんだっけ」ってつぶやくシーンとか。日常とお芝居の声って絶対違うじゃないですか。いわゆる“お芝居の声”が善とされる場面も絶対あるんですが、本作ではそうじゃない声がいい形で作品のリアリティに繋がるんじゃないかと思って、いわゆる“お芝居っぽくない声”をいろいろ試しました。それらを全部吉田監督は許容してくださったんです。

ーー吉田監督も東出さんの意図を読み取っていたのかもしれませんね。

東出:好き勝手にやらせていただきました(笑)。

ーーいち観客として、東出さんは本作をどのようにご覧になりましたか?

東出:映画ファンの方は絶対楽しんでいただけると思います。映画はフィクションに過ぎない、現実には勝てないと言われたりしますが、役者がカメラの前で演技をしたときに、ふと現れる、フィクションが現実を超越する瞬間を夢見てギリギリまで挑戦しようという俳優陣が今回出ているので。そういう挑戦の積み重ねが映画の中で息づいていると思います。自分もまだ読み取れていない、一見するとのどかなんだけど、そのさらに奥にキラキラしたものや泥の底の石のような硬いものが本作にはまだある気がするんです。いち観客としてもう一度観たい作品ですね。

※吉田恵輔の「吉」は「つちよし」が正式表記。

■公開情報
『BLUE/ブルー』
新宿バルト9ほか全国公開中
出演:松山ケンイチ、木村文乃、柄本時生、東出昌大
監督・脚本・殺陣指導:吉田恵輔
配給:ファントム・フィルム
製作幹事:東映ビデオ
製作:「BLUE/ブルー」製作委員会
2021年/カラー/ビスタ/5.1ch/107分
(c)2021「BLUE/ブルー」製作委員会
公式サイト:https://phantom-film.com/blue/
公式Twitter:@bluemovie_21

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