ロバート・ロドリゲスによる“ヒーロー集結作品” 『ヒーローキッズ』の痛烈なメッセージ

『ヒーローキッズ』が投げかけるメッセージ

 近年、怒涛の勢いを見せているスーパーヒーローたちが集合するアクション大作映画『アベンジャーズ』シリーズ。2021年は、その展開を引き継ぐヒーロー単独作品『ワンダヴィジョン』が配信されたり、一方で対抗馬となるDCコミックス原作の『ジャスティス・リーグ』も、ザック・スナイダー監督によるディレクターズカット版の配信が決定しているなど、今後もヒーロー集結映画は話題に事欠かなそうだ。

 このようなブームのなか、M・ナイト・シャマラン監督のように、『ミスター・ガラス』など一連の作品によって、一人の監督がヒーロー映画のユニバースを作ってしまったケースも出てきた。そのような単独監督でのヒーロー映画ユニバース、しかもヒーロー集結作品というジャンルに、新しく名前を刻むことになったのが、ロバート・ロドリゲス監督である。

 しかし、今回の主人公は子どもたちのヒーローだ。様々な能力と個性を持ったヒーローキッズの冒険は、子どもたちのキュートな姿と、わくわくするようなアクションが展開する楽しい作品だが、同時にかなり痛烈なメッセージをわれわれ大人に投げかける映画でもある。ここでは、昨年末からNetflixで配信中の『ヒーローキッズ』が描いているテーマを、掘り下げて考えてみたい。

 『エル・マリアッチ』(1992年)や『デスペラード』(1995年)、『マチェーテ』(2010年)などでは、キレのある荒唐無稽なガンアクションを手がけ、近年では日本の漫画作品を原作としたSF大作『アリータ:バトル・エンジェル』(2019年)や『スター・ウォーズ』シリーズ初のTVドラマ『マンダロリアン』のエピソード監督を務めるなど、多様な分野で活躍しているロバート・ロドリゲス監督は、『スパイ・キッズ』シリーズなど、子どもを主人公にした娯楽作品を手がけているという一面もある。暴力映画と子ども向け映画を撮ることができるという点では、日本の三池崇史監督に近いといえよう。

 そのなかで生まれたのが、子どもたちをキャスティングした『シャークボーイ&マグマガール 3-D』(2005年)だった。ロドリゲス監督にはコミックヒーロー映画のイメージは薄いが、90年代にニコラス・ケイジ主演のスーパーマン映画の監督を、プロジェクトを企画した盟友ケヴィン・スミスからオファーされたり、2010年には『デッドプール』の監督を打診されたりなど、ロドリゲス監督作としては実現されなかったものの、ヒーロー映画といくつもの関わりがあったのはたしかだ。

 そして、『シン・シティ』(2005年)に代表されるように、ジョージ・ルーカスとの出会いから、『スター・ウォーズ』新3部作同様にCGなどで製作した背景をデジタル合成することで自由な表現を手に入れたロドリゲス監督は、空想的な演出が喜ばれる子ども向け娯楽作品で、その方法を駆使しながら映画を製作し続けることができた。そして本作『ヒーローキッズ』も、CGをふんだんにとり入れたつくりになっている。

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